2005 Fiscal Year Annual Research Report
男女共同参画社会における女子体育教師の役割について-戦前の女子体育教師との比較-
Project/Area Number |
15500421
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Research Institution | Tokyo Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
掛水 通子 東京女子体育大学, 体育学部, 教授 (20096663)
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Keywords | 女子体育教師 / 女子体育 / 男女共同参画社会 / ジェンダー / 特性教育 / ダンス / 男女共修 |
Research Abstract |
女子体育教師数減少の観点から、男女共同参画社会における女子体育教師の役割を考察した。文部科学省(旧文部省)の学校教員統計によると、高等学校女子保健体育科教師は1983年に女子教師中の9.8%を占めていたが、2001年には6.6%に減少した。同様、中学校女子保健体育科教師は10.8%から8.1%に減少した。男子保健体育科教師は増加している。 関東地方4県の116高等学校の調査では、1校平均女子保健体育科専任教師数は0人から6人の分布で、1校平均1.27人、59.5%の高校が1人配置であった。女子保健体育科専任教師がいない高等学校が16校(14.4%)あった。男子保健体育科専任教師数平均は4.96人であった。女子保健体育科専任教師が皆無の16校中12校には女子講師も皆無であった。男子体育教師のみでの担当割合が高い種目は、柔道93.3%、剣道81.6%、ラグビー75.0%、サッカー65.9%であった。女子体育教師のみでの担当割合が高いのは、ダンス71.8%のみであった。武道やラグビー、サッカーは男子体育教師が、ダンスは女子体育教師が担当するという戦前から続く慣習が残っている。高等学校教師が考える女子体育教師数減少の理由には、従来から女性が仕事をする場合に解決できずにきた理由と男女共同参画社会となり新たに生じた理由がある。「家事・育児等のため」等の問題に、男女共同参画社会での男女平等カリキュラムでの選択制導入から生じた問題がある。「女子体育教師は男子生徒の指導が困難」、「女子はダンスの時代ではない」と必ずしもダンスが選択されなくなったこと、『「女子体育は女子の手で」の考えの減少』という理由が加わった。 女子体育教師数減少の背景には、女子体育教師に対する固定観念や男女共同参画社会であっても、女子が働きにくい社会がある。男女共同参画社会における女子体育教師は、男女生徒を教える、ダンス教師ではなく体育教師であることを前提にしなければならない。
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Research Products
(2 results)