2005 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本本草学のフィールドノート「採薬記」の基礎的研究
Project/Area Number |
15500662
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
平野 満 明治大学, 文学部, 教授 (10189855)
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Keywords | 採薬記 / 本草学 / 宮地郁蔵 / 加藤元貞 / 内山覚仲 / 三谷公器 |
Research Abstract |
昨年度にひき続き、小野蘭山の「採薬記」諸写本の書誌的調査とその検討をおこなった。蘭山の採薬記に関しては「小野蘭山の「採薬記」の成立と転写系統の検討-『常野採藥記』『甲駿豆相採藥記』-」(『駿台史学』第124号、2005年3月)として発表したが、本年度は「小野蘭山の「採薬記」の書誌的検討-その二一」(『明治大学人文科学研究所紀要』第 冊,2007年3月刊行予定)として、上記で触れ得なかった『常野採藥記』の別録ともいうべき『遊毛記』、公務としての採薬の記録である『紀州採藥記』、『房總常州採藥記』、『駿州勢州採薬記』、『上州妙義山武州三峯山採藥記』について検討した。また、蘭山の常野採薬に随行した宮地維則(郁蔵)の採薬記録『常毛採品目録附常毛物産方言』、房総常州採薬に随行した蘭山門人内山覚仲の記録『常房總三州採藥記』、紀州採薬に随行した蘭山門人加藤元貞の『藤氏南紀採藥志稿』および蘭山門人三谷公器『信州駒嶽採藥誌稿』をとりあげてその書誌的検討を試みた。 蘭山門人山本亡羊とその息子たちによる「採薬記」、やはり蘭山門人水野皓山の「採薬記」について、現存の写本のほとんどについて書誌的調査を終えた。そのほか、まとまりはないが機会があり次第、江戸後期の採薬記についての書誌的調査を継続中。 また、かつて発表した「植村政勝『諸州採薬記』の書誌的検討」(『明治大学人文科学研究所紀要』第40冊、1996年12月)について、その後閲覧できた写本を検討した結果、再考が必要となった。これについては、目下検討中である。
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