有害元素広域的環境汚染に伴う人体暴露調査研究のための高能率分析システムの開発

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15510029
• Research Institution: Iwate Medical University
• Principal Investigator: 世良 耕一郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (00230855)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 千葉 啓子 岩手県立大学, 盛岡短期大学部, 助教授 (90197137) ; 二ッ川 章二 日本アイソトープ協会, 滝沢研究所, 部長
• Keywords: 爪の分析 / 試料調製法 / 高効率分析システム / 三検出器同時分析システム / フッ素の定量分析 / 有害元素 / 広域的環境汚染

Research Abstract

爪試料の試料調製法・測定法の確立:爪試料の洗浄法が検討され、アセトン中の超音波洗浄法が確立された。小規模金鉱山鉱夫の爪試料に対しても同法は有効であるが、傷に金属粒が埋め込まれた試料に対し、希塩酸中での超音波洗浄法も開発された。先細りに切断した爪の先端部にのみビームを当てる条件下で、精度の良い分析が可能となることが確認された。本法により多試料の高効率分析が可能となり、既に開発されている尿、毛髪、血液試料分析法と組み合わせた有害元素人体暴露の総合的評価が可能となった。
高効率解析システムの構築:本科研費によりWindows機用外付け波高分析器(以下MCA)が購入され、ネットワーク上のどのコンピュータからも解析可能となるシステムが構築された。世良による解析プログラムSAPIXにも、新データ形式に対応する改良が加えられた。従来、異なるMCAシステムで得られるX線スペクトルを共通の形式に変換するプログラムを働かせねばならなかったが、今後、新システムと同機種のMCAをネットワーク上のwindows機で使うことにより、3検出器からのスペクトルが、直ちに解析可能となった。
三検出器同時計測システムによるフッ素分析法の確立:以前に購入されたGe検出器を用いたフッ素定量分析法が新たに確立され、Na以上の元素に加えフッ素の定量分析も可能となった。フッ素は砒素、水銀と並び広域的環境汚染をもたらす元素として注目されている。フッ素分析が可能となったことにより、当システムにより調査研究が可能な課題がさらに拡大された。本法は既に、飲料水、人骨、家畜飼料等の環境試料分析に応用されている。引き続き、フッ素分析の効率化を計るためのシステム改良を行う予定である。

Research Products

• [Publications] Murao, S., Sera, K., Futatsugawa, S., Chen, B., Sun, X: "Trace Element Concentration of Leaf and Ash from a Waste Pond at Fankou Mine, China."Int'l Journal of PIXE. 12・1,2. 53-60 (2002)
• [Publications] Murao, S., Futatsugawa, S., Sera, K., Maglambayan, V.B.: "Trace Element Analysis of Tailings from an Indigenous Mining Community, Benguet, Philippines."Int'l Journal of PIXE. 12・1,2. 61-69 (2002)
• [Publications] Habib, M., A., Miono, S., Sera, K., Futatsugawa, S.: "PIXE Analysis of Hair in Arsenic Pollution, Bangladesh."Int'l Journal of PIXE. 12・1,2. 19-34 (2002)
• [Publications] Sera, K., Futatsugawa, S., Miura, Murao, S., Clemente, E.: "Quantitative Analysis of Untreated Human Nails for Monitoring Human Exposure to Heavy Metals."Int'l Journal of PIXE. 12・3,4. 125-136 (2002)
• [Publications] Futatsugawa, S., Sera, K.et al.: "Analysis of Liquid Waste Using PIXE."Int'l Journal of PIXE. 12・3,4. 85-91 (2002)
• [Publications] Sera, K., Terasaki, K., Murao, S., Futatsugawa, S., Saitoh, Y.: "A Three-detector Measuring System Using a Pure-Ge Detector"Int'l Journal of PIXE. 13・1,2. 23-35 (2003)