2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520123
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
和田 義一 福井工業大学, 工学部, 助教授 (40329454)
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Keywords | 万葉集 / 博物学 / 江戸時代 / 本草学 |
Research Abstract |
江戸期の万葉博物学書、小林義兄「万葉集中禽獣虫魚草木考」・伊藤多羅「万葉動植考」・春登「万葉集名物考」・荒木田嗣興「万葉品類鈔」・鹿持雅澄「万葉集品物解」の5書中の博物語彙を抽出し、それらの語彙の解釈に関する5人の著者の意見を関連付けて検索できるデータベースを業者(江守商事)の協力により構築した。現在、その博物語彙と博物学者の解釈を入力中である。 一方、鹿持雅澄「万葉集品物解」は大著「万葉集古義」の付録として編纂されたものであり、「品物解」の解釈の原点をたどるためには、「万葉集古義」そのものを参照する必要がある。平成15年度は版本「万葉集古義」(大阪府立中ノ島図書館蔵)の第十巻までをコピーした。残り十巻は16年度コピーの予定である。また、雅澄の学問は土佐の国学の流れを引くものであり、とりわけ教授館の先輩谷真潮の影響を受けているといわれる。高知県立図書館は谷真潮書写の契沖「『万葉代匠記』を所蔵(山内文庫)している。「品物解」の中に引用されている『万葉代匠記』の本文と谷真潮本の本文とを比較検討してみると完全には一致しないが、両本の間には密接な関係があることが確認された。今日、我々が見ることができる「万葉集古義」は稿本「万葉集古義」(高知県立図書館・山内文庫蔵)を除けば、すべて宮内庁書陵部本を底本としている。この本は雅澄の死後清書されて宮内省に納入されたものである。したがって清書の過程での字句の多少の改変も予想されるので完全な一致は望めない。谷本との比較には慎重でなければならない。 江戸期の万葉博物学書は多かれ少なかれ「本草綱目」の説を基盤にし、「本草綱目」を引用している。江戸時代の学者が中国書の「本草綱目」の内容をどの程度正確に理解していたかを知ることも必要である。そのためには国訳の「本草綱目」を手元におく必要がある。これは古書で購入した。
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