2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520123
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
和田 義一 福井工業大学, 工学部, 助教授 (40329454)
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Keywords | 万葉集 / 動物・植物 / 江戸時代 / 本草学 / データベース |
Research Abstract |
万葉集所載の動物・植物を本草学の知識を応用して解釈する研究法を万葉博物学と称している。その研究の代表的な著書としては小林義兄「万葉集中禽獣虫魚草木考」、伊藤多羅「万葉動植考」、春登「万葉集名物考」、荒木田嗣興「万葉品類鈔」、やや遅れて鹿持雅澄「万葉集品物解」などが挙げられる。上記5書は万葉集所載の動物・植物を鳥・獣・虫・魚・草・木の6種類に分類し、「本草綱目」を中心とする本草書を参考に品物(ひんぶつ)解釈を試みている。 本研究では、動物・植物語彙(同一物に対する異表記も含めて)約900語を対象に、著者別に品物解釈が比較・対照できるデータベース「万葉和歌博物語彙管理システム」を作成(業者に協力を依頼)し、入力した。このデータベースの和歌は塙書房刊のCD・ROM万葉集を底本とした。なお、データベースには現代の解釈も入力した。現代の解釈としては新編日本古典文学全集(小学館)「万葉集」の解釈を主に採った。入力は当初学生アルバイトを予定したが、語彙の扱いや訓読において万葉集を専攻する学生でなければ困難であることが判明し、すべて研究者一人でやった。 このデータベースは江戸時代の万葉研究を解明するための基礎研究である。本研究によって、江戸時代に難解であった品物、また、本草学の応用の実態などが明瞭になった。彼等が難解とした品物は今日も問題をはらんでいる。本研究によって、江戸時代の誤謬を訂正し、正しい品物解釈へと進むことが万葉研究の今後の課題である。
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Research Products
(2 results)