2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520194
|
Research Institution | Osaka Prefectural University |
Principal Investigator |
谷口 廣治 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (50021770)
|
Keywords | ゲオルク・ビューヒナー / フランス革命 / ドイツ観念論 / フランス百科全書派 / ルソー / 三月革命前期 / フィヒテ / ヴォイツェク |
Research Abstract |
ゲオルク・ビューヒナーの思想形成に大きな役割を果たした、ヨーロッパ思想史の二大潮流-一方は18世紀フランスの感覚論や唯物論、他方はフィヒテとルソーに代表される主観的観念論-が処女作『ダントンの死』の随所で激しい葛藤を繰り広げている事実を、筆者はゲオルク・ビューヒナーのイデオロギー的立場」(独文)において、種々の文献とテクストの相関関係を検証する作業を通じて明らかした。この論文はドイツのゲオルク・ビューヒナー研究所による論文審査に合格し、同研究所の機関誌「ゲオルク・ビューヒナー年鑑」第十号に掲載された。ビューヒナーが遺した唯一の小説である『レンツ』のテクスト研究は、最近ドイツでも急速に進んでいるが、ビューヒナー研究所が一昨年に刊行したビューヒナー全集第五巻『レンツ』には、その成果が集約されている。しかしながら『レンツ』の成立史をめぐる同研究所の解釈では、作者ビューヒナーに与えたフランス実証主義的医学研究の影響が過大に評価されており、またテクスト解釈に党派的恣意性が散見する。この点を批判した筆者の論文「実証の藪を透かし見る-マールブルク版『レンツ』をどう読むか」は、日本ビューヒナー協会機関誌「子午線」第四号に掲載された。 「ビューヒナー文学のテクスト生成史」というテーマと直接的な関係はないものの、筆者は2004年4月アメリカ合衆国で開かれた「ゲオルク・ビューヒナー国際シンポジウム」に参加し、「日本におけるビューヒナー受容史」をテーマとして報告を行った。この報告論文はビューヒナー研究所とナッシュビル大学の共編となる「ビューヒナー国際シンポジウム2004年」誌に掲載された。
|
Research Products
(3 results)