2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520458
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
坂下 史 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (90326132)
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Keywords | 西洋史 / イギリス / 公共性 / 救貧 / 都市 / 地域 / ヴォランタリズム / 行政 |
Research Abstract |
本研究は、近代イギリスにおける公共政策の実践過程に迫るために、救貧社と呼ばれる半官半民の組織を研究の対象としている。とりわけ、都市行政の制度的枠組みや人々の行政に対する期待と対応が大きく旋回し、近代的な納税者意識と住民自治の萌芽的な発展がみられた19世紀における救貧社の活動について、地方都市(ノリッジとエクセタ)の場合を取りあげて明らかにすることに取り組むものである。 本年度の研究実績は、以下の3点にまとめられる。1.資料(史料)の収集(a.国内における文献の調査収集:19世紀救貧法関係の史料集、およびその他の研究文献。b.3月後半に実施したイギリスでの調査を通じて救貧社の活動と新救貧法の制定にかかわる史料を収集:1834年の新救貧法制定と救貧社との関係を示す新聞資料など)。2.展望の提示(12月に名古屋工業大学にて開催された「近代公共圏研究会」における口頭報告で、18世紀末から19世紀初めの救貧社の活動を地方都市ノリッジの労役所改革をめぐる係争問題に着目して検討。報告後の討論を通じて今後の研究の方向性を確認。)3.成果の公表(「11.研究発表」欄を参照)。 上記のように、これまでの研究を引き継ぐかたちで16年度以降に向けて研究の方向性を示し、初年度として一定の成果を上げることが出来た。ただし、本年度は科学研究費補助金の交付内定が10月であったため、実質的な研究期間が年度後半の半年に限られた。そのため、独自の研究成果の公表という点では必ずしも十分ではなかった。収集した資料の分析とこれにもとづく成果の公表は、課題として来年度以降に持ち越されている。
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Research Products
(1 results)