2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520490
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
次山 淳 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・平城宮跡発掘調査部, 研究員 (80260058)
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Keywords | 古墳出現期 / 土器 / 生産・流通 |
Research Abstract |
本研究は、古墳出現期に吉備形、讃岐形、東阿波形、河内庄内形、大和庄内形などと呼ばれる特定の胎土と型式学的な特徴を備えた一群の土器の生産と流通に焦点をあてて、その生産の消長、製作の中心、流通の範囲と規模(流通量)などを探ろうとするものである。また、それぞれの土器群と他の土器との関係を踏まえた様式構造全体の理解も目的としている。本年度の研究実施計画にそって、(1)各土器群の研究の現状の再整理、(2)資料実態の把握、(3)胎土分析結果の集約、(4)実地調査、の各項目にわたる作業を実施した。今年度は、(4)実地調査に重点を置き、大阪府久宝寺遺跡、加美遺跡、萱振遺跡、奈良県城島遺跡、兵庫県尾崎遺跡、小神辻の堂遺跡、清水遺跡、北山遺跡、徳島県芝遺跡、福岡県博多遺跡群、大分県安国寺遣跡、守岡遺跡、等の出土土器について、観察、実測、採拓、写真撮影等の資料収集を実施した。特に、近年明らかになった庄内形の地方類型に関して、播磨型、筑前型それぞれの典型資料を観察し、河内型、大和型との相互の関係について、属性レベルでそれぞれの特徴を検討した。また、小型精製器種に関して資料観察を重点的におこない、畿内における地域性と北部九州との関係を検討した。(1)、(2)、(3)の課題については、前年度に続き継続的に資料収集をすすめ、特に当該期土器の胎土分析に関わる文献の収集を重点的に実施した。実地調査も、この成果から観察資料の選択をおこなったものである。成果の公表には、口頭発表として、「形態からみた小型丸底土器の地域性」(考古学研究会関西例会第131回研究会)がある。
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