2005 Fiscal Year Annual Research Report
少子高齢化社会における租税・社会保障制度の定量分析
Project/Area Number |
15530215
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 章 岡山大学, 経済学部, 助教授 (10294399)
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Keywords | 少子高齢化 / 税制改革 / ライフサイクル一般均衡モデル / シミュレーション分析 / 累進支出税 / 国民負担率 / 受益と負担 / 公的年金改革 |
Research Abstract |
現在わが国で急速に進行している少子高齢化・人口減少は、財政および社会保障制度に深刻な影響を与えている。というのも、現在の制度は、人口構成が若く、経済成長率も高い時代に基本的な骨格が構築されたからである。少子高齢化が進行し、人口が減少し始め、経済成長も鈍化するのに伴って、既存の制度の持続可能性に問題が生じている。本研究の目的は、わが国の財政・社会保障制度をこのようなドラスティックな構造変化に対応させるための具体的な改革案を提示することにある。 少子高齢化・人口減少という構造変化を織り込んだ分析を行うためには、Auerbach and Kotlikoff(1983)によって開発されたライフサイクル一般均衡モデルによるシミュレーション分析の手法が適している。本研究では、このシミュレーション・モデルをわが国の財政・社会保障制度の分析に適したものに改良し、代替的な政策案について定量的な分析を行っている。 今年度は、モデルを家計の受益と負担の両方を考慮できるものに拡張し、わが国の(租税負担率と社会保障負担率を足し合わせた概念である)国民負担率が長期的にどのような水準にあるべきか、について分析を行った。シミュレーション分析の結果、政府からの公共サービスによる便益を考慮した場合には、わが国の最適な国民負担率が50%を超える可能性があることが示唆された。また、望ましい国民負担率は少子高齢化の進展と共に上昇する可能性があることが明らかとなった。この研究成果は、2005年8月の国際財政学会(The 61^<st> Congress of the International Institute of Public Finance, Korea)で口頭発表された。
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Research Products
(3 results)