2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦中期日本におけるイスラーム研究の成果と評価―早稲田大学「イスラム文庫」の分析―
Project/Area Number |
15530347
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20197502)
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Keywords | イスラーム研究 / 日本 / 戦中期 / 早稲田大学 / アジア主義 |
Research Abstract |
本研究は、早稲田大学図書館に所蔵されている大日本回教協会(1937年設立〜1945年解散)関係の資料(当大学内では通称「イスラム文庫」)の分析をとおして、戦中期日本におけるイスラーム研究の成果を評価するものである。 戦中期の1930年代後半から第2次世界大戦終戦にかけて、大日本回教協会をはじめ、諸々の研究機関が設立され、イスラームに関する調査研究がきわめて活発に行われた。この時期の同協会の組織構造と活動実態を考察し評価するため、評議員、研究員、職員などを網羅的にリストアップし、とりわけ戦後のイスラーム研究の基礎を築いたと考えられる研究者(大川周明、松田寿男、小林元、大久保幸次、内藤智秀など)の研究成果を整理してきた。戦前のイスラーム研究は、いわゆる「アジア主義」とも大きな関連を持っていることが明らかであり、この視野からの分析も来年度には行う予定である。 前年度までの整理作業により、「イスラム文庫」の目録を平成14年度前半にCD-ROM(暫定版)の形で関連する研究者に配布し概ね好評を博したが、今後も更に情報を更新し、必要に応じて、目録自体のレベルアップも行う。 具体的には、本年度は下記の作業を進めてきたが、本格的分析は来年度になる。 (1)戦前のイスラーム研究等の成果を、「イスラム文庫」や関連する雑誌『回教圏』、『回教世界』、『回教事情』、『イスラム』、『新亜細亜』、『大亜細亜主義』、『興亜』、『東亜』などから網羅的に収集し分析した。 (2)戦中期の1930年代後半から第2次世界大戦後までの大日本回教協会の組織構造と活動実態を「イスラム文庫」にある資料を主に使用して、具体的に明らかにしつつある。今後は、戦後のイスラーム研究の基礎を築いてきたと考えられる研究者たちの研究状況を科学社会学的視点から具体的に明らかにする。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 店田 廣文: "複合民族国家マレーシアにおける都市化と高齢化問題"人口と開発. 82号. 22-29 (2003)
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[Publications] 店田 廣文: "人口変動の新局面"中東研究. 481. 70-71 (2003)
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[Publications] 店田 廣文: "大アジア圏の人口問題"アジア新世紀:8. 8. 43-50 (2003)