2004 Fiscal Year Annual Research Report
代数群とKac-Moody群の研究、およびその応用
Project/Area Number |
15540005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 純 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (20166416)
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Keywords | リー代数 / 代数群 / Gauss分解 / ルート系 / Bruhat分解 |
Research Abstract |
量子トーラス上の線形群の構造解明は、量子トーラス自身が非可換環であるので、非常に難しい側面がある。本研究では2変数の場合を取り上げ、さらに1つの変数に関して完備化した、完備量子トーラス上の線形群の構造を分析した。その結果、Bruhat分解の存在、群表示の決定、普遍中心拡大の決定、およびK_1群やK_2群の構造の解明がなされた。さらにその応用として、今まで殆ど研究が進んでいなかった拡大アフィン・リー代数に付随する完備群の普遍中心拡大の情報も得ることができた。 また、既存の拡大アフィン・リー代数を含む広い概念「局所拡大アフィン・リー代数」を導入し、その大きなクラスでも「カッツ予想」という期待されている性質が成り立つことを証明した。そこではもはやカルタン部分リー代数は有限次元とは限らず、今まで調べられてきている世界を大幅に広げている。しかし、そこまで広げても依然としてルートの張る空間は半正定値であるという結論が示された。その上、対応するルート系が局所有限ルート系になっていることも証明された。 さらに、1次元タイル張りに付随するリー代数Lと群Gを定義し、それらの持つ良い性質の解明に成功した。具体的には、Lはsl(2)で生成され、加法的Gauss分解U(L)=U(L_+)U(L_-)U(L_+)が成り立ち、GはSL(2)で生成され、乗法的Gauss分解G=G_+G_-G_0G_+が成り立つことが示された。これらは、タイル張りの情報が初めてリー代数化、群論化されたことにとどまらず、それらの持つ非常に良い特質を取り出すことに成功している点が、今後の研究の飛躍を大いに期待させ、特筆すべき点である。
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