2003 Fiscal Year Annual Research Report
自然利用型排水処理プロセスからの温室効果ガス排出機構と制御に関する研究
Project/Area Number |
15560479
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
水落 元之 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター, 主任研究員 (50260188)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板山 朋聡 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会形成推進, 廃棄物研究センター・研究員 (80353530)
岩見 徳雄 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会形成推進, 廃棄物研究センター・研究員 (00353532)
|
Keywords | 自然利用型排水処理プロセス / メタン / 亜酸化窒素 / 生活排水 / ラグーン / 土壌処理 / 人工湿地 / 温室効果 |
Research Abstract |
本研究はメタン、亜酸化窒素の大きな排出源と考えられ、今後、開発途上国を中心として急激な普及が予想されるものの、これまでの知見が極めて不足していた人工湿地などの自然利用型排水処理プロセスからの排出量と排出機構を現地での実態調査を含めて運転操作条件との関係で明らかにすることを目的とし、以下の成果を得た。 自然利用型排水処理プロセスとして代表的なラグーン、人工湿地、土壌処理を取り上げ、それぞれのモデルプラントを用いて検討を行った結果、ラグーンではメタンは処理前半での排出が卓越するものの、亜酸化窒素は光合成周期との関連が認められた。人工湿地の内、浸透式処理では土壌表層部で発生するメタン濃度が減少する傾向が見られ、土壌中に集積したメタン酸化細菌の影響と考えられた。また、表面流れ方式のメタン排出量が浸透式に比べ大きくなる傾向が認められ、湿地内部でのメタン生成菌等の細菌群集構造を明らかにする必要が明らかになった。なお、亜酸化窒素については環境因子との明瞭な関係を得ることは出来なかった。土壌処理では、メタン、亜酸化窒素共に、土壌中ORP濃度との関係が認められた。特に、亜酸化窒素では排出についてORPの至適領域が存在する傾向が示されており、対策技術との関連で詳細を明らかにする必要が認められた。いずれの手法についても再現性のある排出係数を得ることは出来ていないが、フィリピンで行ったラグーンの現地調査から流入する炭素あたりのメタンへの変換率は45%程度が得られ、排出量に対するポテンシャルの高さが認識された。今後は同様の検討を継続し、各処理手法の運転条件、環境条件と排出量の関係を明らかにする。
|