2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫のフェノール酸化酵素前駆体活性化系構成因子の同定
Project/Area Number |
15570059
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
落合 正則 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10241382)
|
Keywords | 昆虫 / 生体防御 / 自然免疫 / 異物認識 / プロテアーゼ / フェノール酸化酵素前駆体活性化系 |
Research Abstract |
昆虫体腔内にカビや細菌などの微生物が侵入した場合に活性化するフェノール酸化酵素前駆体活性化系(proPOカスケード)の活性化機構解明を目的に、現在未同定のカスケード構成因子Factor Hの精製を試みた。これまでの研究成果によりFactor Hはプロテアーゼであり、普段は血液中で不活性な前駆体として存在すると考えている。昨年度、Factor Hの上流のカスケード構成因子である異物認識蛋白質と下流のセリンプロテアーゼ前駆体(Factor S及びproBAEEase)を用いた再構成系を構築し、Factor Hの特異的活性化とある程度の定量的な活性測定が可能になった。このFactor H検出系を用いて、proPOカスケード構成因子を含むカイコ体液を出発材料に硫安分画、4種類のカラムクロマトグラフィーでFactor H活性型の精製標品を得た。活性型Factor Hの内部アミノ酸配列解析よりcDNAのクローン化を行い、Factor Hはセリンプロテアーゼドメイン、スシドメインなどをもつ新規なプロテアーゼ前駆体であることが明らかになった。Factor H前駆体の組換え体と特異抗体を調製後、Factor Hの性状やカスケード活性化機構について分析する予定である。セリンプロテアーゼが活性発現する際の糖やCa^<2+>の影響をthrombinなどをモデルとして調べた結果、添加する糖の構造やカルモデュリン結合蛋白質によってはプロテアーゼ活性を特異的に阻害する可能性があることが明らかになり、Ca^<2+>に依存すると考えているFactor Hの性状分析に応用する予定である。また、昆虫の生体防御に働くウイルス認識因子を想定してDNAと蛋白質の複合体についてその結合様式を調べ、DNA構造の変化による結合への影響について知見を得た。
|
Research Products
(3 results)