2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド・イネにおけるヘテロシスおよび稔性の遺伝学的分析
Project/Area Number |
15580008
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
池橋 宏 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50193222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 和成 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (90139048)
宍戸 理恵子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (90307819)
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Keywords | ヘテロシス / 遠縁交雑 / QTL遺伝子座 / 染色体地図 / 幼苗形質 / 葉の老化 |
Research Abstract |
イネでは,登熟期以降の光合成速度が収量の増加と粒の品質の向上に関係すると考えられている.葉の枯れ上がりに関する遺伝的解析を行うため,インド型品種IR36と日本型品種熱研2号の日印交雑後代,IR36/熱研2号//熱研2号およびIR36/熱研2号//IR36が作出された. それぞれの集団のBC_1F_1世代においてSSRマーカーによる連鎖地図が作成された.さらにBC_1F_2世代において出穂後一定期間人工気象室に入れ,出穂日の差の老化への影響を軽減した条件下で形質調査が行われた.QTL解析の結果,葉の老化とそれに関係する形質に関して合計8つのQTLが検出された.2つはIR36/熱研2号//熱研2号およびIR36/熱研2号//IR36における25日後の高葉緑素含量のQTL,1つはIR36/熱研2号//熱研2号における葉緑素含量の減少のQTL,1つはIR36/熱研2号//熱研2号における1穂あたりの完全生葉数のQTL,4つはIR36/熱研2号//熱研2号およびIR36/熱研2号//IR36における1植物体あたりの完全生葉数のQTLである.老化の形質に関する重要なQTLは第6染色体の短腕および第9染色体の長腕で検出された. 最終年度では,次の世代,すなわちBC_1F_3世代を用い,BC_1F_2世代で検出されたQTLについて自然条件下における後代での効果や再現性の程度を検討した.マーカーの分離データに基づいて,各QTLに対応するIR36と熱研2号のホモ型をそれぞれIR36/N2//N2とIR36/N2//IR36の集団から分離し,実際の表現型に対する遺伝子型の効果を調査した.その結果,IR36ホモ型が,熱研2号ホモ型よりも葉緑素含量の大きな減少を示し,熱研2号ホモ型が全てのQTLにおいて枯れ上がりを遅らせる方向へ働いていた.これらのQTLは実際の育種へと利用できる可能性が期待される.
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Research Products
(3 results)