2004 Fiscal Year Annual Research Report
食品抗原・機能性食品成分摂取による小腸上皮内リンパ球の遺伝子発現変化の解析
Project/Area Number |
15580101
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸塚 護 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 客員助教授 (70227601)
|
Keywords | 小腸上皮内リンパ球 / DNAマイクロアレイ / インターロイキン10 / 制御性T細胞 / 食品抗原摂取 / 腸管免疫 / CD4^+ T細胞 |
Research Abstract |
卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞レセプター遺伝子トランスジェニックマウス(DO11.10マウス)に対し、OVAを含む飼料(卵白食)あるいは対照飼料(カゼイン含有食)を3日間経口摂取させた場合に、小腸上皮内リンパ球(IEL)で生じる遺伝子発現変化についてDNAマイクロアレイ法を用いて解析した。卵白食群で発現が上昇した遺伝子98個、低下した遺伝子24個が検出され、発現上昇したものには細胞周期・増殖や免疫に関連する遺伝子が多く認められた。免疫に関連する遺伝子のうち最も発現上昇が顕著だったインターロイキン10(IL-10)についてさらに検討したところ、遺伝子発現と同様に卵白食群のIELでIL-10分泌量の増加が認められた。これらの現象はIL-4やインターフェロンγでは認められなかった。IL-10遺伝子の発現はIELサブセットの中でもCD4^+ IELサブセットでのみ顕著に認められ、その発現は他の腸管リンパ組織のCD4^+ T細胞よりも著しく高かった。CD4^+ IELにおけるIL-10遺伝子の発現は通常のBALB/cマウスにおいても認められた。卵白食摂取によりDO11.10マウス由来CD4^+ IELの細胞あたりのIL-10発現は上昇せず、一方全IELにおけるCD4^+ IELの数が増加したことから、卵白食摂取による全IELのIL-10発現上昇はCD4^+ IEL細胞数の増加が主に関与していることが示唆された。IL-10は一部の制御性T細胞の機能に重要であることから、CD4^+ IELが腸管粘膜における免疫応答の制御に関与する可能性が考えられ、食品抗原摂取によりその機能が増強されることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)