2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢呼吸化学受容機構におけるCO_2リセプター細胞の同定とその機能解析
Project/Area Number |
15590190
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80160688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑名 俊一 帝京大学, 医学部, 専任講師 (70129998)
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Keywords | 中枢呼吸化学受容 / CO_2リセプター / 脳幹 / 橋 / 高濃度CO_2液微量注入 / 延髄腹側表面部 / アセチルコリン / ニコチン性アセチルコリン受容体 |
Research Abstract |
生命維持に最も重要な中枢呼吸化学受容機構について、平成16年度には、CO_2リセプター細胞におけるCO_2受容機構、CO_2リセプターから延髄深部呼吸神経回路網への情報伝達経路などに着目し、以下の解析を行った。(1)脳幹部細胞外液環境と中枢呼吸化学受容との関係についてin vitro脳幹標本における実験より、細胞外液カリウム濃度が重要な意義を有していることを明らかにした。(2)中枢呼吸化学受容機構の局在について、橋スライス標本に膜電位イメージング法を応用することにより、橋A5領域も化学感受性を有することを明らかにした。(3)重要な静脈麻酔薬propofolは呼吸抑制作用を有しているが、in vitro脳幹標本へのホールセル記録法の応用により、propofolは主に延髄の前吸息性ニューロンの抑制により呼吸神経出力を低下させることを明らかにした。(4)呼吸化学受容においては、脳幹部と頚動脈小体・大動脈小体の役割が注目されているが、肺動脈にも混合静脈血中のCO_2分圧を感知するリセプター機構が存在し、その神経情報は迷走神経を介して延髄へ伝達される可能性が大きいことを報告した。(5)延髄腹側表面部CO_2リセプターから延髄深部呼吸神経回路網への結合について、高濃度CO_2液微量注入刺激および電気刺激による機能的マッピング解析により、延髄腹側表層部のなかでも正中部、傍錐体部、吻腹外側部から深部呼吸神経回路網への結合の存在を証明した。その他、中枢呼吸化学受容におけるニコチン性アセチルコリン受容体の意義について薬理実験を行い、CO_2リセプターから呼吸神経回路網への情報伝達においてはアセチルコリンが重要な役割を果たしていることを明らかにした(論文準備中)。これら結果を統合して、動脈化学受容国際会議(2005年5月、仙台)にて中枢呼吸化学受容の新しい神経機構モデルを提唱予定である。
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Research Products
(16 results)