2003 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の軟骨分化誘導におけるプロテオグリカンの役割
Project/Area Number |
15590355
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 秀人 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教授 (90240514)
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Keywords | 軟骨 / 軟骨分化 / 間葉系幹細胞 / TGF-β / プロテオグリカン / バーシカン / PG-M / 超音波刺激 / BMP |
Research Abstract |
ヒト間葉系幹細胞のペレット培養系において、TGF-βおよびBMP-6処理、さらに超音波刺激の軟骨分化に対する影響を検討した。TGF-β処理によりペレットの軟骨分化誘導が観察されたがBMP-6単独では細胞は分化誘導されなかった。超音波刺激はTGF-β処理したペレットの軟骨分化を促進したが、未処理群に対しては効果を示さなかった。この結果からTGF-β処理は軟骨分化誘導に必須でありその作用を超音波が促進すると考えられた(Tissue Engineering, In Press)。TGF-βによる軟骨分化誘導へのシグナル伝達経路に関しては検討中である。 軟骨分化初期の間葉系細胞凝集領域にバーシカン/PG-Mが一過性に強く発現することが知られている。軟骨分化初期段階の同プロテオグリカンの役割を軟骨系N1511細胞を用いて検討した。その結果、分化初期のバーシカン/PG-Mの発現はその後のアグリカンの転写に不可欠であり、その作用は細胞外マトリックスに沈着した同分子のコンドロイチン硫酸鎖によるものであることがわかった(現在、投稿準備中)。 バーシカン/PG-Mは軟骨初期のみならず成長後の軟骨にも少量存在することを我々は見いだした。同分子のコア蛋白質はアグリカンのコア蛋白質と同様のドメイン構造を持つことから同分子がプロテオグリカン会合体を形成しうると考え、アグリカン会合体の構成分子であるリンク蛋白、ヒアルロン酸とバーシカン/PG-Mとの結合に関して生化学的検討を行った。その結果、バーシカンG1ドメインのB-B'領域が両者との結合に必要かつ十分であることがわかった。この結合様式はアグリカン会合体の結合様式と異なり2つのプロテオグリカン会合体の生体内における異なった機能を示唆するものとして興味深い(J Biol Chem,278,41205-41212,2003)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsumoto, K.et al.: "Distinct interaction of versican/PG-M with hyaluronan and link protein."J Biol Chem. 278・42. 41205-41212 (2003)
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[Publications] Watanabe, H.et al.: "The proteoglycan aggregate : structure and function."Connective Tissue. 35・4. 201-206 (2003)
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[Publications] Ebisawa, K. et al.: "Ultrasound enhances chondrocyte differentiation of human mesenchymal stem cells."Tissue Engineering. In press. (2004)
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[Publications] 渡辺秀人, 木全弘治: "プロテオグリカン"蛋白質核酸酵素 増刊 糖鎖機能. 48・8. 916-922 (2003)