2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脂肪組織中ダイオキシン類濃度及び起源と組織型別肺がんに関する環境疫学的研究
Project/Area Number |
15590509
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中平 浩人 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (40217758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 秀夫 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70324001)
高橋 敬雄 新潟大学, 工学部, 教授 (70134955)
山本 正治 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40018693)
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Keywords | 肺がん / 組織型 / 重金属 / 砒素 / 内分泌かく乱化学物質 / ダイオキシン類 |
Research Abstract |
肺がんの危険因子として喫煙は重要である。しかし、最も発生頻度が高い腺がんは喫煙との関連が薄い。従って、喫煙以外の肺がんの危険因子を検討することは、年々増加する肺がんの一次予防に重要である。これまで、新潟県において判明した腺がん発生の集積地域は、かつて鉱山が多く存在し環境中の重金属濃度が高い地域と一致し、喫煙以外の要因として重金属に注目した。また、ダイオキシン類は、ヒト発がん物質とされ、プロモーターとしての発がん過程における役割が示唆されている。肺は、ダイオキシン類のがん発生の標的臓器である。さらに、新潟県では農薬に含まれるダイオキシン類による1960〜70年代の汚染が最も深刻であり、ダイオキシン類の人体への影響を調査する必要がある。本研究は、喫煙以外の危険因子として従来から肺がんと関連があるとされている砒素をはじめとする重金属とプロモーターとしてのダイオキシン類との関連を探る横断研究を行うことを目的とした。 本研究への参加のインフォームドコンセントが得られた120名のうち、分析試料が収集され、病理診断が確定し、かつ患者惰報が揃った108例について分析を実施した。組織型では、扁平上皮がんが27.8%、腺がんが63.9%であった。喫煙歴は、男性では90.1%、女性では13.5%に認められた。肺組織中重金属分析の結果、主要な交絡因子である年齢及び喫煙係数とは関係が認められなかった。肺組織中砒素濃度に性差が認められ男性に高く、男性の扁平上皮がん群にて腺がん群より高値が得られた。肺腺がんが多く認められた2次医療圏居住者の砒素濃度は、男女ともにそれ以外の医療圏に比し高かったが、統計的有意差は認められなかった。砒素以外では、カドミウム濃度に有意差が認められた。注目すべきことは、喫煙歴のない腺がんでベリリウム、クロム、ニッケルが有意に高く、砒素も高い傾向であった。喫煙に由来しない重金属汚染が個人的にある可能性がある。今後、統計学的解析の精度を上げるため、肺腫瘍症例数及び剖検例の収集等によりコントロールとしての肺がん以外の肺疾患症例数を増やす必要がある。また、砒素の毒性を鑑み、砒素のスペシエーションが必要である。今年度までに、脂肪組織中ダイオキシン類の測定に取り掛かる準備が整った。
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Research Products
(1 results)