2005 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子overloadにおけるマクロファージ活性酸素の役割の検討
Project/Area Number |
15590532
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
大山 正幸 大阪府立公衆衛生研究所, 生活環境部, 主任研究員 (40175253)
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Keywords | ディーゼル排気粒子 / 浮遊粒子状物質 / マクロファージ / 活性酸素 / スーパーオキサイド / ヒドロキシルラジカル / 3-ニトロベンズアントロン / 微粒子 |
Research Abstract |
我々は、ディーゼル排気粒子(DEP)やDEP中に含まれる変異原性物質の3-ニトロベンズアントロンをコーティングしたカーボン粒子試料などのナノ粒子において、含有物質やコーティングした変異原性物質がマクロファージの活性酸素反応を亢進することを示した。一方、ナノ粒子は、容易に凝集した状態で浮遊するため、粒子に含有される成分だけでなく、粒子サイズがマクロファージに与える影響も重要と考えた。今年度は、元の試料を凝集させて作成した複数の平均粒径(10ミクロン以下)のDEP試料、カーボン粒子試料、及び、3-ニトロベンズアントロンコーティングカーボン粒子試料を、ヒトモノサイト誘導マクロファージに投与し、粒子サイズがマクロファージの活性酸素反応(スーパーオキサイドをルシゲニンによる発光反応で測定・その実験系で生成されるOHラジカルを2-デオキシ-d-リボース法で測定)への影響を調べた。 実験の結果、DEPや3-ニトロベンズアントロンコーティングカーボン粒子では活性酸素の反応性と粒子サイズとの明確な関係は認めらなかった。この関係を明確にするにはさらに大きな粒径の範囲で実験する必要があった。また、凝集したカーボンナノ粒子では活性酸素反応は認められなかった。 100ミクロン以上のサイズで凝集したカーボンナノ粒子では実験動物肺に強い炎症性影響を示すが、できる限り分散させた同じナノ粒子ではあまり影響が認められない報告がある。極端に大きすぎる粒子は物理的に肺で血流や気道中の空気の流れを妨げる可能性があり、overload状態(排出量より吸入量が多い状態)とは、粒子の排出機能が正常に働く範囲を逸脱した状態と考えた方が適切であり、ナノ粒子の影響ではなく巨大粒子の影響と考えるべきかも知れない。
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