2004 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンによるCD4+CD25+胸腺細胞の分化制御と原発性胆汁性肝硬変
Project/Area Number |
15590657
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
大西 三朗 高知大学, 医学部, 教授 (60136380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 利治 高知大学, 医学部, 助教授 (60145125)
秋澤 直明 高知大学, 医学部, 助手 (00322280)
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Keywords | 性差 / エストロゲン / 胸腺細胞 / 分化異常 |
Research Abstract |
自己免疫現象により小葉間胆管傷害をきたす原発性胆汁性肝硬変は、肝臓における代表的な自己免疫疾患で、胆管上皮に対する細胞性免疫により慢性非化膿性破壊性胆管炎をきたすと考えられている。多くの自己免疫疾患は女性に好発するが、本症も例外ではなく、症例の9割を女性が占め、閉経時期を中心に発症する。エストロゲン欠損マウスの胸腺ではCD3+TCRβhigh胸腺細胞の激減とCD4+CD25+胸腺細胞の減少、CD4+CD8+CD25+胸腺細胞の増加が特徴で、加齢とともに自己反応性T細胞浸潤が顕在化する。エストロゲン欠損マウスではエストロゲンの投与によりCD4+CD8+CD25+胸腺細胞数やCD4+CD25+胸腺細胞数は正常化し、CD3+TCRβhighの胸腺細胞が誘導され、エストロゲンの補充療法により加齢に伴う自己反応性T細胞浸潤の頻度は著しく低下する。そこで、胸腺細胞の正常な分化、ことにCD4+CD8+CD25+胸腺細胞からCD3+TCRβhigh胸腺細胞への分化過程にエストロゲンの存在が不可欠で、その欠乏により自己反応性T細胞の増殖が生じるのではないかと考え、摘出胸腺細胞のorgancultureを行った。その結果、正常血清添加培養液中ではCD4+CD25+胸腺細胞数やCD3+TCRβhigh胸腺細胞数の増加が観察された。しかし、抗エストロゲン抗体添加正常血清あるいはエストロゲン欠損マウス由来血清を添加した培養液中ではCD4+CD25+胸腺細胞数やCD3+TCRβhigh胸腺細胞数の改善は困難であった。このような成績は、自己反応性T細胞の適切な排除過程に関与するCD4+CD25+胸腺細胞の成熟、特にCD4+CD8+CD25+胸腺細胞からCD3+TCRβhigh胸腺細胞への分化過程にエストロゲンの存在が不可欠である可能性を示唆する所見と考えられた。
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Research Products
(3 results)