2003 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞特異的転写因子を介した制御性T細胞誘導による自己免疫疾患治療法の開発
Project/Area Number |
15591050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三崎 義堅 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60219615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 仁人 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70334406)
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Keywords | 制御性T細胞 / 自己免疫疾患 / 転写因子 / 分化誘導 / cDNAクローニング / レトロウイルスベクター / トランスジェニックマウス / ホメオスタシス |
Research Abstract |
CD4陽性ヘルパーT細胞のサブセットの一つであるCD4(+)CD25(+)制御性T細胞(以下Treg)は、免疫応答を負に制御し、免疫系のホメオスタシス維持の上で重要な役割を担っていると考えられている。こうしたT細胞サブセットへの分化には転写因子が重要な役割を果たすことが判明している。そこで本研究では、Treg分化誘導能のある転写因子を同定し、その遺伝子を末梢血或いは関節浸潤T細胞に導入することにより、一度エフェクターメモリーT細胞に分化してしまった自己反応性T細胞を治療上望ましいTregに再分化させる治療戦略を開発することを目的とした。 卵白アルブミン(OVA>を全身の核内に発現するトランスジェニックマウスと、OVA特異的なT細胞レセプターを発現するTgとのダブルTgでは、自己反応性細胞が、胸腺でTregになる。このダブルTgから樹立LたOVA特異的Treg細胞株とOVA特異的CD4(+)CD25(-)T細胞由来cDNAライブラリーをサブトラクションし、Treg特異的cDNAクローンを約400個取得した。 予測アミノ酸配列からDNA結合モチーフを保持するクローン2つに注目した。そのうちの一つはFOXP3で、昨年ほぼ同時期に3つのグループより我々に先んじて、Treg分化上重要であることが報告されてしまった。もう一つの候補である<189>には、全長約2.0kbpで386アミノ酸のポリペプチドを規定し、zinc finger領域をもつと予測された。その発現はTregで無刺激でも高く、CD25陰性T細胞では低いが、T細胞レセプター刺激により発現上昇が認められた。この<189>をレトロウィルスベクターを用いてCD25陰性CD4陽性T細胞に導入すると増殖が非常に緩徐となった。ところが、Jurkat細胞株では、増殖がむしろ約2倍に促進される。従って、<189>はTregにおいて生存延長などに関与している可能性が高くなった。 実験開始にあたって、予測した如く、Treg分化誘導に重要な役割を果たすTreg特異的転写因子FOXP3が存在していた。今後転写因子の導入による治療実験に進む予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Setoguchi K, Misaki Y, Kawahata K, et al.: "Chondromodulin-I, a vantilage-derived angiogenesis inhibitory factor, suppresses T cell response."Arthritis & Rheumatism. (in press).
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[Publications] Kobari Y, Misaki Y, Setoguchi K, et al.: "T cell accumulating in the inflamed joints of a spontaneous murine model of rheumatoid arthritis become restricted to common clonotype."International Immunology. 16(1). 131-138 (2004)
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[Publications] Tabara H, Fujo K, Misaki Y, et al.: "Reconstituted of CD8 T Cells by retroviral transfer of the TCR alphabeta-chain genes isolated from a clonally expanded."Journal of Immunology. 171(4). 2154-2160 (2003)