2003 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムの鎮痛作用発現機構に関する免疫組識化学的研究
Project/Area Number |
15591650
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 雅夫 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30333470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村川 雅洋 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90182112)
本多 たかし 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20165608)
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Keywords | マグネシウム / ホルマリンテスト / 鎮痛 / Fos / ヒスタミン / ブラジキニン |
Research Abstract |
マグネシウムにはNMDA受容体拮抗作用があり、麻薬や局所麻酔薬の鎮痛効果を高めることが報告されている。本研究の目的は脊髄後角における神経細胞興奮のマーカーとされるFosタンパクの発現を指標として、マグネシウムの作用部位が脊髄であるか否かを検討することである。 本年度はまず、ラットにマグネシウムを腹腔内投与し、ホルマリンテストで鎮痛作用を発現するマグネシウムの投与量を検討した。マグネシウムの投与量は0(生食:対照群)、30、150、300nM/kgの4群とし、それぞれホルマリン皮下注後のflicking回数を5分間隔で1時間測定した。その結果、30、150nM/kg群では対照群と有意の差はなかったが、300nM/kg群では有意に第1相、第2相ともにflicking回数が減少した。 次に、同量のマグネシウムを投与したラットの左足背をブラジキニン、ヒスタミンで刺激した後、脊髄L1-L5を取り出し、脊髄後角のFos陽性細胞数を測定した。ブラジキニン刺激によるFos陽性細胞数はマグネシウウム投与で有意の変化を示さなかった。ヒスタミン刺激によるFos陽性細胞数は、脊髄後角第I、II、X層とも、300nM/kg投与群では対照群と較べ有意に減少した。 以上の結果から、マグネシウムによる炎症性疼痛に対する鎮痛効果は、脊髄後角の2次ニューロンに対する作用であることが示唆された。また、NMDA受容体拮抗薬はホルマリンテストの第1相のみを抑制するといわれている。本研究の結果から、マグネシウムはNMDA受容体拮抗作用以外の作用機序で鎮痛効果を発現することが示唆される。したがって、マグネシウムの鎮痛作用発現機構の解明には、Fos陽性細胞とNMDA受容体や他のグルタミン酸受容体を持つ細胞との相同性を免疫組織化学的手法によって検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(1 results)