2003 Fiscal Year Annual Research Report
内耳に対するドラッグデリバリーシステムに関する検討
Project/Area Number |
15591830
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 泰宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60193611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 正次 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20317225)
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50286556)
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Keywords | 内耳 / ドラッグデリバリーシステム / 遺伝子投与 |
Research Abstract |
1)モルモット内耳に対するキトサンを用いた遺伝子デリバリーシステム 非ウイルスベクターであるキトサンは合成も容易で、他臓器では既に医薬品に用いられている上で臨床応用が期待される運搬体である。今回キトサンを用いた内耳デリバリーについて検討した。GFP遺伝子を組み込んだキトサンを内耳に投与したところ、内耳蝸牛(聴覚系器官)には少数ながら遺伝子発現を認めた。脳波を用いた聴力検査(ABR)にて聴力障害を認めなかったことから、キトサン投与が聴覚機能に与える影響は小さいと結論づけられた。今後はキトサンによる遺伝子デリバリーの効率以外に、ドラッグデリバリーとしての可能性について定量し、検討する。 (なお、この結果は平成15年5月日本耳鼻咽喉科学会;東京に発表した)。 2)マウス前庭培養 C57/B16マウスの内耳から前庭・蝸牛を摘出し、7日間器官培養を行った。 アデノウイルスベクターを感染させたところ、支持細胞を中心に、らせん神経細胞にも遺伝子発現を認めた。 3)ヒト内耳へのドラッグデリバリーシステムの検討 内耳培養法の確立を目的として、本大学医学部病院倫理委員会の承認の元、聴神経腫瘍患者から前庭摘出が行われた。培養下条件にて7日間のヒト前庭器官培養を施行した(N=2)。 培養後の組織を電子顕微鏡下にて観察した。前庭全体の組織障害が強く、神経細胞の一部は残存していたが、感覚上皮細胞の観察は非常に困難であった。これは、組織が障害されている例から摘出したこともあるが、むしろ、ヒト内耳前庭に対する培養法の検討の余地があることを示唆した。
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