2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔上皮細胞でのカルプロテクチンの発現調節機構の解明と歯周治療応用への基礎研究
Project/Area Number |
15592190
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅野 将宏 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30335822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 正俊 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 助教授 (20224438)
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Keywords | カルプロテクチン / 上皮細胞 / 分化 / 歯周病 |
Research Abstract |
本年度は,ヒト上皮細胞株であるHaCaT細胞を用いて,IL-1α,TGF-β,およびカルシウムが上皮細胞分化指標involucrinの発現に及ぼす影響を検討するとともに,これらの因子がカルプロテクチンのサブユニットであるMRP-8およびMRP-14の合成と分泌に及ぼす影響も同時に調べた。その結果,RT-PCR分析から,IL-1αおよびカルシウムはinvolucrin mRNA発現を促進し,TGF-βは何ら影響を及ぼさないことが明らかとなった。また,Northern blotting分析から,IL-1αおよびカルシウムはMRP-8とMRP-14 mRNAの発現を同様に促進し,TGF-βは抑制することが明らかとなった。このように,上皮細胞の分化に関与するIL-1α,TGF-β,およびカルシウムを作用させた場合の上皮細胞分化因子involucrinの動態とカルプロテクチンの動態が一致していることから上皮細胞におけるカルプロテクチンは分化と何らかの関連性を持ちながら発現するものと考えられた。さらに,カルプロテクチン定量実験から,MRP-8とMRP-14の上皮細胞内での合成量は,いずれもIL-1αおよびカルシウムで増加しTGF-βで減少した。この結果から上皮細胞の分化とカルプロテクチンの発現の関連が一層強く示唆された。ちなみに大部分のカルプロテクチンは上皮細胞画分に認められ,培地中のカルプロテクチン量はどの群もわずかであった。以上より,上皮細胞においてカルプロテクチンが分化発現と関連していることが明らかとなった。(659字)
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Research Products
(5 results)