2005 Fiscal Year Annual Research Report
独居する女性後期高齢者のサクセスフル・エイジングの日米比較
Project/Area Number |
15592351
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
谷井 康子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (10236680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯村 富子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (10389124)
堀 みゆき 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (20412356)
徳川 麻衣子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (00389131)
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Keywords | 独居 / 女性後期高齢者 / サクセスフル・エイジング / 日米比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は、独居する女性後期高齢者のサクセスフル・エイジングに関する日米比較をし、その違いを明らかにすることである。 平成17年度の研究目的は、我が国の独居女性後期高齢者のサクセスフル・エイジングに関する要因を明らかにするために、独立心の強い米国人の独居する女性後期高齢者のサクセスフル・エイジングに関する要因を明らかにし、日本の女性後期高齢者の要因と比較することであった。 研究の実施: 米国の東海岸に面したニューイングランド地方の1小都市(ニューハンプシャー州)に独居する女性後期高齢者のサクセスフル・エイジングを明らかにするため、現地での情報収集を行った。研究場所と対象者については、地域の選定に当たって、日本での対象者の住む地域に合わせ、大都市や農山村過疎地域の様な特殊な環境条件は避け、一般的な地域環境で独居している女性後期高齢者の中より同意の得られた者17名を対象者とした。データ収集法は日本の場合同様、家庭訪問により、インタビュー・ガイド(英訳したものを米国人にプレテストを行い修正したもの)を用いて面接を(45〜90分)1回行った。面接内容は了解を得てテープ録音し、英語から日本語に翻訳した逐語録を作成し、研究者全員でデータの解釈分析を行い、比較検討した。また、対象者の了解を得て、日常生活の様子や面接場所をビデオ撮影し、参考資料として分析の際活用した。倫理的配慮については、事前に文章により研究目的などを説明し、同意の得られたものに面接直前に再度口頭で説明し実施した。 結果: 日米の独居する後期高齢者のサクセスフル・エイジングについて比較の結果、以下の相違点が見出された。 環境への適応について、(1)日常生活では、決まった日や時間に礼拝に行ったり、教会や障害者施設など地域の中で主体的にボランティア活動が行なわれていた。また、殆どが自家用車を運転し、行動範囲も広がっていた。(2)福祉サービスについてはその利用よりも家族、友人、近隣者のインフォーマル・サポートに相互に支えながら生活しており、それらに満足と感謝の気持ちを持っていた。(3)健康問題に関しては、慢性疾患や身体的苦痛を持っているが主観的健康観が高く、セルフ・コントロールが良くなされ、保健予防行動をとっていた。(4)趣味や関心事の継続的活動に積極的で体力に合わせ、大学のシニアクラスへの参加や水泳など選択的に行っていた。(4)過去の体験では、世界大恐慌の影響で貧しかった子ども時代を体験したものもあったが、それらの現在の生き方への影響は見られなかった。(6)死については、殆どが、避けられないことであり、人生の一部と捉え、受け入れるしかない、と感じているものが多かった。
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