2003 Fiscal Year Annual Research Report
水中溶存有機物の組成解析のためのバイオレスポンスプレートの開発
Project/Area Number |
15651027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古米 弘明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40173546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 典之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30292890)
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Keywords | 溶存有機物 / 微生物群集 / バイオレスポンスプレート / 印旛沼 / 水道水源 / 分子生物学的手法 / BIOLOG / 腐植物質 |
Research Abstract |
千葉県印旛沼流域から回収した起源の異なる有機物を湖沼水に添加し,PCR-DGGEによる微生物群集構造の解析と菌株の単離を行った。また,単離株の基質利用特性を調べた。 DGGEの結果からは,以下のことが明らかとなった。1)異なる流入河川水有機物を添加した3種類の系列では,DGGEのバンドパターン変化が類似していたことから,外来性有機物に対する初期の微生物群の利用には共通性があることが推測された。2)アシの腐植質を添加した系列では,河川水有機物の系列とは異なるバンド(Comamonadaceae科の細菌の配列に近縁)が確認され,有機物の種類に応じて特定の細菌が代謝を担うことが示唆された。3)市販フミン酸を添加した系列のDGGEバンドパターンは,対照系と大きな差異がなく,短期間では微生物群に影響を与えないことがわかった。 単離操作により,合計74種類の菌株を得ることができた。単離された細菌のいくつかはDGGEゲル上の特徴的なバンドに対応していたが,単離元の系列とDGGEゲル上の出現系列とは必ずしも一致していなかった。また,これらの単離株の基質利用特性をBIOLOG GN2プレートを用いて評価した結果,同じ系列から単離された株の基質利用特性は類似している場合もあったが,全体としては必ずしも明瞭に対応しているわけではなかった。高濃度基質条件下にあるBIOLOGプレートにより評価されるものは,潜在的な基質利用能であって,実際の代謝特性を反映していない可能性がある。今後は現場に近い有機物レベルにおけるこれらの細菌の代謝特性を利用して,生物学的視点から溶存有機物の評価を試みる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 春日郁朗: "印旛沼における溶存有機物評価のための細菌の単離とその基質利用特性"第38回日本水環境学会年会講演集. (発表予定). (2004)
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[Publications] 春日郁朗: "起源の異なる印旛沼溶存有機物に対する微生物群の利用特性"第40回環境工学研究フォーラム講演集. 132-134 (2003)
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[Publications] 古米弘明: "ダム湖水中の腐植物質とその工学的課題"第6回日本水環境学会シンポジウム講演集. 265-266 (2003)