2003 Fiscal Year Annual Research Report
青森県における仏教唱導空間の基礎的研究-図像・音声・身体-
Project/Area Number |
15652046
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山田 嚴子 弘前大学, 人文学部, 講師 (20344583)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 淳一 国立歴史民俗博物館, 助教授 (60241452)
須藤 弘敏 弘前大学, 人文学部, 教授 (70124592)
諸岡 道比古 弘前大学, 人文学部, 教授 (70133915)
|
Keywords | 開帳 / 絵解き / 仏教唱導空間 / 地獄絵 / 仏教民俗 / 地蔵信仰 / 血盆経 |
Research Abstract |
4月から6月までに青森県内の宗派ごとの寺院一覧を作成し、所在地、連絡先を示した。既刊報告書及び、寺院関係者への聞き取り調査から地獄絵を所蔵している寺院の情報を書き込み、調査計画を立てた。7月から8月にかけて地獄絵を所蔵する寺院に直接連絡をとり、地獄絵を開帳する日時を確認した。この時点で青森県内の地獄絵の開帳は(1)1月16日、(2)春彼岸、(3)盆、(4)秋彼岸に行われていることが確認できた。また、近年になって、観光客や小学校の総合学習の需要に応じて、地獄絵を常時展示するようになった寺院もあることが分かった。初年度は年中行事と関わらせて開帳する地獄絵の調査を優先した。 調査にはビデオカメラを用い、仏教唱導の空間がどのように演出されているか、参拝者は山門をくぐったあとにどのように動くか、参拝者は絵をどのように鑑賞するかに留意して撮影に努めた。絵の説明を行う場合はその様子を撮影した。 今年度は浄土宗寺院3ヶ寺、曹洞宗寺院3ヶ寺、真言宗寺院1ヶ寺、臨済宗寺院1ヶ寺、黄檗宗寺院1ヶ寺を調査した。このうち住職や寺族が絵の説明を行う寺は3ヶ寺(曹洞宗2ヶ寺、真言宗1ヶ寺)あり、そのうち2ヶ寺は近年になってから始めていることが分かった。それ以外の寺では参拝者の求めがあれば、それに答える形で住職が絵の説明をすることがあった。また、檀家の年配の者が、子どもに絵の説明をしている姿が見られた。参拝者からの聞き取り調査でも絵の説明は家の年寄りがした、と答える人が多かった。近年は、盆や彼岸にも地獄絵とともに涅槃図を掛けたり、絵を掛ける場所を変えたりするなど、仏教唱導空間も変化を遂げていることが分かった。 今年度の研究成果は高達奈緒美(研究協力者)が1月24日に「血盆経信仰と血の池地獄」と題して美術史学会東支部大会(於:共立大学)で発表している。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 榎本千賀, 高達奈緒美, 久野俊彦, 山田嚴子, 渡浩一(編): "一四巻本 地蔵菩薩霊験記(下)"三弥井書店. 531 (2003)