2004 Fiscal Year Annual Research Report
言語指標を用いた社会的推論過程の解明-帰納・演繹過程の国際比較研究
Project/Area Number |
15653044
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
唐沢 穣 神戸大学, 文学部, 助教授 (90261031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西光 義弘 神戸大学, 文学部, 教授 (10031361)
岡本 真一郎 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (80191956)
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Keywords | 特性推論 / 原因帰属 / カテゴリー化 / アイロニー / 比喩表現 / 自動性と他動性 / 責任の判断 |
Research Abstract |
1.人物の属性に関する帰納・演繹過程を測定するための言語カテゴリー・モデルの精緻化と、これを検証するための実験的研究を、日本とイタリアの比較を基に行なった。人物の記述およびその記憶において、イタリア語では通常、形容詞による表現と表象が用いられるのに対し、日本語では動詞の出現頻度が高くなることを明らかにした。また、日本においては形容詞より動詞のほうが人物特性について情報価が高いと判断されることが示された。人物理解の形成・保持過程に関する日伊各言語および文化における共通点と相異点が明らかになった。研究の成果を国際学会や海外の大学での講演で発表するとともに、前年度来の成果と併せた論文をアメリカ心理学会の学術雑誌に投稿し、現在審査中である。 2.日本・イタリアの各文化において、人物理解における社会的カテゴリーの自発的・選択的使用と、敬語を始めとする言語使用に関する社会的規範との関連について実験的研究を行なった。言語使用との関連から他者の年齢に注意を払うことが重要な日本では、人物のカテゴリー化も年齢情報をもとに行なわれやすいことが示された。成果を国際学会および海外での講演で公表するとともに、論文の執筆を進めた。 3.比喩や皮肉の理解過程と、それに関連する推論過程について実験的検討を行い、成果を国内外の学会および論文として公表した。 4.自動詞・他動詞の使用と、それに伴って知覚される原因推論過程との関連について実験的検討を行なった。自動詞を用いて表現される行為は、内的で統制可能な原因に帰属されやすく、責任知覚も増大することが明らかになった。 5.文化心理学研究における言語的分析の意義を論じた論文を公表した。
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Research Products
(5 results)