2004 Fiscal Year Annual Research Report
保育園における乳幼児による暴力の社会的構成に関する文化心理学的研究
Project/Area Number |
15653049
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
鹿嶌 達哉 広島国際大学, 医療福祉学部, 助教授 (00284141)
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Keywords | 暴力 / 社会的構城 / 文化心理学 / 保育園 / 乳幼児 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究を行った。 1.文献研究:関係発達論の視点から乳幼児における暴力の社会的構成に関する理論的概観を行った。早期の親子関係における、(1)怒りを認容・喚起する相互作用様式、(2)身体接触の遊戯的使用、(3)(特に男子に対する)活動性(攻撃性)の期待、(4)世代間伝達された体罰使用と暴力許容度、(5)他の子どもとの相互作用場面における介入など、これまであまり焦点が当てられてこなかった側面が、暴力の社会的構成に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 2.保育士に対する予備的面接:幼児の暴力は個人特性や育ち、家庭の問題と結びつけられ理解されるときには否定的な評価を受けるが、自己主張や「正義」と理解されるときには必ずしも否定的評価を受けない。また、状況や集団の影響が強い場合には保育士自身が責任を感じる場合もある、ことが示唆された。 3.大学生が児童期以降に体験した暴力:大学生男女に対する面接から、(1)男子は小中学校時代を中心に「けんか」を体験した者が多いが、特に否定的には評価していないこと、(2)女子は暴力全般に否定的な評価をしていること、(3)男女ともに現在は暴力を身近な問題として感じていないことなどが示された。 4.大学生の育てられ方と子どもへの接し方:ボランティアで子どもと接している学生に対する面接から、子どものしつけに「体罰」が必要かどうかは、自分の育てられ方と関連し、「弱い」体罰を用いられた学生は体罰の必要性を認めるが、「強い」体罰を体験した学生は「虐待」と認識し、体罰に否定的になる傾向が見られた。 5.大学生の暴力への関心:大学生には児童虐待、高齢者虐待、DV(家庭内暴力)、殺人事件など暴力に関わる問題に強い関心を抱いているものが多い。
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