2004 Fiscal Year Annual Research Report
ビルディングブロックの集積によるイオン性金属過酸化物ポリマーの分子構築
Project/Area Number |
15655019
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
橋本 正人 国立大学法人和歌山大学, システム工学部, 助教授 (50237947)
|
Keywords | ポリ酸 / 金属過酸化物 / 結晶構造 / 無機ポリマー / ビルディングブロック / 集積化 / モリブデン / タングステン |
Research Abstract |
1.(1)らせん状ペルオキソモリブデン酸ポリマーの合成法の確立を目指した研究を行った。しかし、ほぼ同一な条件下で、化学量論的に同一であるが構造の異なるペルオキソモリブデン酸も得られ、これらの作り分けはできず、従って論文化もできていない。(2)陽イオンの組み合わせと溶液のpHに注意し、その他の構造をもつペルオキソポリモリブデン酸ポリマーを得る試みも行ったが、成功していない。 2.ペルオキソモリブデン酸系の^<17>O-NMRによる溶液内反応の解析では、前年度に引き続き溶液内化学種の共存陽イオンやpHによる影響を調べたが、スペクトルに変化は見られず、単核及び二核のユニットが観察されるのみであった。このことから、ポリマー化は明らかに結晶化時に起こり、ポリマー構造の違いは、結晶化時の陽イオンとの相互作用の違いにより起こるものと考えられる。また、合成時に酢酸を使用するため、酢酸錯体と思われるシグナルも観察されたが、ペルオキソモリブデン酸酢酸錯体の単離は成功していない。 3.ポリマーの熱分解挙動については、ペルオキソ基が分解する第1段目が爆発を誘引することが多く、制御が困難であるため、解析には至っていない。 4.タングステン系でも過酸化物ポリマーが得られるか試みたが、陽イオン架橋によるポリマーはいくつか得られたものの、ペルオキソタングステン酸のみから成るポリマーは得られていない。二核ユニットが主であるモリブデン系と異なり、タングステン系では三核ユニットが主となり、多様な構造を示すことを明らかにしつつある。特に、複数のユニットの複合による[H_4W_<13>O_<40>(O_2)_6]^<10->が得られたことは興味深いと考えている。また、モリブデン系の^<17>O-NMRで観察された酢酸錯体に相当すると思われる錯体[(CH_3COO)W_2O_3(O_2)_4]^<3->の単離と構造決定に成功した。
|