2003 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマテリアルを用いた機能性ゲルの作成とその物性の検討
Project/Area Number |
15655080
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大木 進野 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 助教授 (70250420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島原 秀登 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 助手 (40313704)
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Keywords | バイオマテリアル / ゲル / 多機能 |
Research Abstract |
βγクリスタリンスーパーファミリーに属するタンパク質AFP1は,放線菌が分泌するキチン結合タンパク質で,抗菌活性を持っている.このタンパク質を1mM程度の濃度の水溶液にした場合,低温にするとゲル化することを見いだした.この性質を利用してバイオマテリアルを用いたゲルを作成することとその物性を検討することが本研究の目的である.初年度は,大腸菌を利用したAFP1の大量発現系の構築,目的タンパク質の発現・精製方法の確立を目標とした. まず,目的タンパク質をコードするDNAのオリゴマーを受託合成によって入手した.これら断片を酵素処理して1本鎖とし,PCR法を用いて増幅した.DNAの配列は受託分析によって確認した.次に,目的タンパク質をコードするDNAをプラスミドpET30へ導入した.さらに,大腸菌BL21株を形質転換しこのプラスミドを組み込んだ.少量のLB培地で大腸菌を培養し,SDS電気泳動で目的タンパク質の発現を確認した. 目的タンパク質は,封入体として発現された.これを回収し精製する方法を確立した.タンパク質変性剤の一種であるグアニジン塩酸塩を用いて沈殿分画から目的タンパク質を溶解し,透析によって徐々に変成剤濃度を低くすることで目的タンパク質の可溶化が達成出来た.カラム操作を行わなくても目的タンパク質の純度が非常に高いことがSDS電気泳動で確認された.変成剤を除去した目的タンパク溶液を濃縮し,NMR測定を行った.2D-NOESYスペクトルから,この試料は安定した高次構造を有していることが確認出来た. 以上のように,初年度の目標は達成された.次年度は,本試料を用いてゲル化条件(濃度,温度など)を検討する予定である。
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