2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチン性受容体作動薬は筋萎縮性側索硬化症に対する新たな治療薬となりうるか?
Project/Area Number |
15659209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下濱 俊 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60235687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川又 純 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興 常勤形態) (60360814)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ニコチン / ニコチン性受容体 / 運動ニューロン / α7受容体 / 神経保護 / 細胞死 / 治療 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する有効な治療法が切望されている。本研究では、ラット脊髄初代培養系を用いてニコチンの運動ニューロン保護効果を解析し、ALSに対する新たな治療法の可能性について検討する。培養脊髄ニューロンを低濃度(10μM)のグルタミン酸とグルタミン酸トランスポーター阻害薬に24時間曝露すると、選択的運動ニューロン死が認められた。このとき培地中にニコチンを加えておくと、濃度依存症に、この運動ニューロン死が抑制された。この保護効果はα4およびα7ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬によって抑制された。脊髄切片の免疫組織化学的検討により、脊髄運動ニューロンには両受容体が分布していることが明らかとなった。ニコチンのin vitroでの神経細胞保護効果の報告は数多くあり、in vivoにおいても、虚血モデルやパーキンソン病モデルでの保護効果の報告がある。臨床的にはパーキンソン病での喫煙と発症率との負の相関関係は明らかであり、アルツハイマー病にかんしても少量の喫煙が発症を抑制することを示唆する報告がある。ALSに関しては、喫煙はリスクファクターであるとする報告が2つほどあるのみであるがタバコの成分がニコチンのみでないことを考えると、この結果は必ずしもALSに対するニコチン性アセチルコリン受容体刺激薬の有効性を否定するものではない。ALS患者の脊髄で早期よりコリン作動性シナプスが減少しているとの報告もあり、ALSとニコチン性アセチルコリン受容体との関連が示唆される。本研究の発展により今後、ALSとニコチン性アセチルコリン受容体との関連が示唆される。本研究の発展により今後、ニコチン性アセチルコリン受容体を解した保護効果を利用したALSに対する新しい治療法につながることが期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamizo T., et al.: "Phosphodiesterase (PDE) inhibitors are neuroprotective to cultured motor neurons"Journal of Neuroscience Research. 71. 485-495 (2003)
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[Publications] Kitamura Y., et al.: "Hyperbilirubinemia protects against focal ischemia in rats"Journal of Neuroscience Research. 71. 544-550 (2003)
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[Publications] Shimohama S., et al.: "Disease model : Parkinson's diseose"Trends in Molecular Medicine. 9. 360-365 (2003)
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[Publications] Kitamura Y., et al.: "Neuroprotective mechanisms of antiparkinsonian dopamine D2-receptor subfamily agonists"Neurochem Res. 28. 1035-1040 (2003)
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[Publications] Kitamura Y., et al.: "Inhibitory effects of antiparkinsonian drugs and caspase inhibitors in a parkinsonian flatworm model"J Pharmacol Sci. 92. 137-142 (2003)
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[Publications] Sawada H., et al.: "Proteasome mediates dopaminergic neuronal degeneration and its inhibition causes α-synuclein inclusions"Journal of Biological Chemistry. (in press). (2004)