2003 Fiscal Year Annual Research Report
リバースゲノミクス的中枢神経系機能性疾患感受性遺伝子検索法の開発
Project/Area Number |
15659267
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
岡田 元宏 弘前大学, 医学部, 講師 (10281916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 文秋 弘前大学, 医学部, 講師 (60200383)
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Keywords | てんかん / 感情障害 / シナプス蛋白 / カルシウムイオンチャネル / 開口分泌 / 蛋白相互作用 / セロトニン / ドパミン |
Research Abstract |
けいれん性障害の責任遺伝子・感受性遺伝子のリバースゲノミクス的スクリーニングとして、ヒトてんかん患者の連鎖解析とリバースゲノミクス的研究の一致が確認された、GABA神経系の障害を標的とした。既に作出に成功している、GABA受容体γ2サブユニットを形質膜上に輸送する蛋白(PRIP1)の遺伝子ノックアウトマウス(PRIP1 KO)とGABAのシナプス小胞への再取り込み蛋白であるAP3Bのμ3Bサブユニットをコードする遺伝子のノックアウトマウス(AP3B KO)の神経伝達物質遊離をwild typeと比較検討した。PRIP1 KOの自発性けいれんの出現頻度は5%以下であったが、その自発性痙攣は致死性であった。RIP1 KOでは、wild-typeと比較し、興奮性アミノ酸の代表であるグルタミン酸遊離を亢進していた。同様に抑制性神経伝達物質であるGABA遊離も亢進していた。PRIP1 KOとは異なり、AP3B KOの自発性痙攣出現頻度は80%以上であり、神経伝達物質遊離は、グルタミン酸遊離の変化は認められなかったが、GABA遊離の抑制が認められた。これらの結果から、同じGABA伝達系機能を制御する蛋白の機能欠損モデル動物でも神経伝達系機能全般を視野に入れた、神経回路としての機能を解析した結果は、PRIP1 KOではGABA伝達系機能の亢進が認められ、逆にAP3B KOではGABA伝達系機能の低下が認められ、従来の古典的基礎てんかん学で構築されてきた、興奮性伝達と抑制性伝達の相対的バランス破綻によりてんかん性発作が生じるとした、"バランス破綻仮説"だけでは充分にてんかん発作発現機序を説明できない可能性を示唆した。今後は、これら遺伝子改変モデル動物の交配を施行し、A3BとPRIP1のウトマウスの作出を行い、この遺伝子改変モデル動物を用いた、神経伝達物質受容体系の障害の相互作用の検討を試み、新たなけいれん性障害の責任・感受性遺伝子の候補遺伝子の機能的検索に努めたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Okada M. et al.: "Age-dependent modulation of hippocampal excitability by KCNQ-channels."Epilepsy Res.2003 Feb;53(1-2):81-94.. 53・1. 81-94 (2003)
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[Publications] Hirose S. et al.: "The genetics of febrile seizures and related epilepsy syndromes."Brain Dev.. 25・5. 304-312 (2003)
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[Publications] Okada M. et al.: "Protein kinase associated with gating and closing transmission mechanisms in temporoammonic pathway."Neuropharmacology. (in press).