2003 Fiscal Year Annual Research Report
弾性ネットを用いた調節可能な低侵襲静的心筋形成術の開発
Project/Area Number |
15659327
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
川口 章 東海大学, 医学部, 助教授 (30195052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 晶夫 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (60224929)
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Keywords | 心不全 / 心拡大 / 左室部分切除術 / 静的心筋形成術 / 心移植 / 弾性ネット / ストレス・ストレイン関係 / 非弾性メッシュ |
Research Abstract |
目的 本年度は、生体親和性高分子化合物からなる規則正しい網目をもつ弾性ネットを試作し、その網目の間隔・形状から発生している張力を推測できるようにする。この弾性ネットを試作し、これを用いて着脱・調節可能な静的心筋形成術の効果を小動物で実験してきた。 現在までの成果と状況 岸田(分担研究者)および山岡哲二(京都工芸繊維大学:研究協力者)と協議のうえ、ポリウレタンのメッシュからなる弾性ネットを作成し、これを用いてラット心筋梗塞モデルでの急性実験を行った。超急性期の外からの緊迫(=静的心筋形成術)による拘束性障害が懸念されたが、緊迫の程度を緩めたため心機能抑制効果(=静的心筋形成術の副作用)は観察できない程度であり、許容範囲内にあった。さらに、心筋梗塞を起こした後に心臓の短軸を包んで拡大を抑制する慢性実験として、同等の心筋梗塞を起こした直後のラットを2群に分け、心臓の短軸を腹巻のように包んだ群(実験群)を6週間後に再開胸して心機能とサイズを無処置の対照群と比較した。心筋梗塞後の慢性期の効果は、左室の拡張末期容積、収縮末期容積とも有意に拡大程度が抑制され、一回拍出量はほぼ同等にに保たれた結果、心機能の指標は全て有意に良好であった。心室の拡張機能が制限される結果の拘束性心機能障害を回避できる可能性と、長期的には心不全から来るリモデリングを抑制して心不全の悪化を抑制することが示唆された。この結果を元に、来年度は大動物(犬)を用いた慢性心不全モデルにおいて、同様の弾性ネットを用いた本実験を計画している。
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