2003 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質のネオ・ダーウィニズム的進化戦略に基づく革新的PEGylation法の確立
Project/Area Number |
15680014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50263306)
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Keywords | ファージ表面提示法 / 蛋白質工学 / プロテオーム創薬 / バイオコンジュゲーション / 薬物送達法 / 機能性人工蛋白質 / ライフサイエンス / ゲノム |
Research Abstract |
ポストゲノム新時代を迎え、疾病治療に有効な蛋白質を創製しようとするプロテオーム創薬とこれらを画期的医薬品として適用した蛋白療法への期待が高まっている。しかし蛋白質は、体内安定性に乏しい為、臨床応用の際には大量頻回投与を余儀なくされ、重篤な副作用を招いてしまう。特にサイトカイン等は多様なin vivo生理作用を有する為、目的とする治療作用のみならず副作用までをも同時に発現してしまう。そのため、医薬品化された蛋白質は末だ極僅かでしかない。以上の観点から本研究では、(1)医薬価値に優れた機能性人工蛋白質を創製できるネオ・ダーウィニズム的分子進化戦略の構築、(2)蛋白質の体内安定性を向上させ、目的治療作用の選択的発現能を付与できるバイオコンジュゲーションの確立等、前述した蛋白質の諸問題を克服できるDDS(薬物送達法)基盤技術の開発を図った。その結果、ファージ表面提示法を独自に改良することにより、1億種類以上もの多様性を有した構造変異蛋白質のライブラリを網羅的作製し、この中から医薬価値に優れた機能性人工蛋白質を迅速同定できる「プロテオーム創薬システム」を確立でき、抗腫瘍サイトカイン(TNF-α)中の全6個のリジン残基を一挙に他のアミノ酸へ置換しても、Wild型の10倍以上もの生物活性を有する機能性リジン欠損TNF-αを創製することに初めて成功した。また前述した活性を完全に保持した機能性リジン欠損蛋白質を用いることで初めて可能となる「N末端アミノ基のみを標的とした部位特異的バイオコンジュゲーション法」を確立し、従来法の諸問題を一挙に克服することに成功した。現在、上述した「プロテオーム創薬システム」と高機能化修飾高分子による部位特異的バイオコンジュゲーションシステムとの融合により、種々難治性疾患に対する新たな治療戦略の確立を目指している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Komada H., Tsutsumi Y., et al.: "Synthesis of a poly(vinylpyrrolidone-co-dimethyl maleic anhydride) co-polymer and its application as renal targeting carrier."Nat.Biotechnol.. 21. 399-404 (2003)
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[Publications] Yamamoto Y., Tsutsumi Y., et al.: "Sit-specific PEGylation of a lysine-deficient TNF-alpha with full bioactivity."Nat.Biotechnol.. 21. 546-552 (2003)
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[Publications] Kaneda Y., Tsutsumi Y., et al.: "The use of PVP as a polymeric carrier to improve the plasma half-life of drugs."Biomaterials. in press.
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[Publications] Kodaira H., Tsutsumi Y., et al.: "The targetting of anionized polyvinylpyrrolidone to the renal system."Biomaterials. in press.
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[Publications] Yamamoto Y., Tsutsumi Y., et al.: "Poly(vinylpyrrolidone-co-dimethyl maleic acid) as a novel renal targeting carrier."J.Control.Release.. in press.
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[Publications] Kamada H., Tsutsumi Y., et al.: "Design of a pH-sensitive polymeric carrier for drug release and its application in cancer therapy."Clin.Cancer Res.. in press.