2004 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザとの協働プロセス構築による福祉機器設計システムの開発
Project/Area Number |
15700379
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
塚田 敦史 東京電機大学, 理工学部, 助手 (70349801)
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Keywords | 福祉機器 / 設計方法論 / グループインタビュー / ユーザセンタードデザイン / ヒューマンインターフェース |
Research Abstract |
本年度は、前年度末に実施した電動車いすユーザを対象としたグループインタビュー法により得られた情報結果を分析し、要求事項(ニーズ)の抽出プロセスの構築を遂行した。具体的には、被験者各発言データを、テキストマイニング手法により系統的に分析し、キーワード型要求事項として提示できるシステムを目標とした。その結果、当初は、客観的な評価を視点に、要求事項をボトムアップ的に収束していくことで、背景因子を分析できることを想定していた。しかしながら本手法の特徴であるグループダイナミクスが充分に反映された抽出結果とはならないことがわかった。また機器と生活環境及び障害の多様性からの評価を考えると、多くの煩雑な過程を伴うことが明らかとなり、有用性の困難さが示唆された。このため、各被験者間の発言内容を、4つの因子(直接的な要求、クレーム、状況説明、第3者的仮説的説明)に直感的に分類し、因子の1つである直接的な要求項目から、トップダウン的に主題を抽出するプロセスを考案し試行した。これは、直感的な分類であっても、分析評価にユーザからの情報の漏れがなければ十分に信頼できるという仮定を設定したことによる。さらに、グループダイナミクスの特徴を結果に反映するために、各発言データにグラフ理論を用いることを考え、構造化技法による要求事項の抽出化を検討した。これは、現在、構築化検証中である。 グループインタビュー手法を用いた本研究の特徴は、要求事項から出発した仮想現実上での機器具現化(シミュレーション)によるユーザとの協働プロセスにある。この機器具現化は、単純なアニメーションではなく、より工学的、力学的に則したシミュレーションであることを想定している。前年度に既存電動車いすの3次元モデル化を行ったが、このモデルが信頼性のある機器具現化ツールでなければならない。このため、電動車いすとユーザの実走行を定量的に評価してシミュレiションに反映させることが必要であり、妥当性を判断するための検証法(ベンチマーク)の構築中である。またユーザヘの動向調査も行った。これらは来年度にかけて引き続き実施し、本手法の構築を進めていく。
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