2004 Fiscal Year Annual Research Report
複雑な動作の習得に伴う身体各部の役割の変容から見た最適動作の発現様相に関する研究
Project/Area Number |
15700434
|
Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
高松 潤二 独立行政法人日本スポーツ振興センター, 国立スポーツ科学センター・スポーツ科学研究部, 研究員 (20344278)
|
Keywords | 動作習得 / バイオメカニクス / 動作分析 |
Research Abstract |
ヒトの動作習得、特に、重力や自己の身体の慣性特性に抗して比較的大きなパワー発揮を必要とするような動作の、短時間における習得過程を明らかにするため、動作課題として、後方への立ち幅跳びを健康な成人男性被験者に行わせた。この動作の選択理由は、(1)日常生活においてほとんど経験されないこと、(2)比較的短時間に動作に慣れることができる程度の難易度であること等であった。被験者には、実験試技に関する説明を行い、実施の承諾を得た後、十分なウォーミングアップに続いて実験試技を開始した。試技間は3分以上の休息時間を取り、回数を10回までに制限した上で、その間に自己の最大努力による跳躍距離の増大に努めるよう指示した。跳躍距離はつま先からつま先までの距離を5cm刻みで計測した。なお、実験試技開始前の跳躍練習は行わせなかった。測定には、床反力計及び高速度カメラを用いて、動作時の床反力(サンプリング間隔1kHz)及び側方からの動作映像(250fps)を同期収録した。次に、収録映像から身体を足、下腿、大腿、胴体+腕+頭の4つのセグメントにモデル化して2次元DLT法により身体各部位の座標を算出した。これらのデータから被験者の関節角度や関節トルク等を算出した。その結果、以下の諸点が明らかになった:(1)試技セッションの前半は体幹が前傾したまま試技を完了し、安全な着地を優先するような動きを示していたが、後半はより後傾するような変化を示した。(2)床反力に関して、鉛直方向のピーク値には習得による変化は見られなかったが水平方向のピーク値は漸減したにもかかわらず水平力積が増大傾向にあった。(3)各関節トルクに関して、各関節のピークトルクの出現パターンは足→股→膝の順で、全ての試技で同じであったが、ピーク出現のタイミングは、習得に伴って足関節のピークトルクのみが相対的に早く出現するようになる傾向を示した。
|