2003 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクルにおける環境情報の開示行動に関する経済分析
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15710022
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
石田 葉月 福島大学, 経済学部, 助教授 (20302309)
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Keywords | 環境情報 / 環境効率 / 持続可能な発展 |
Research Abstract |
本研究は、平成15年度から平成16年度にわたる2年間において計画されているものである。平成15年度においては、まず、事業者における戦略的な環境情報として、LCA情報も縮約された『環境効率』に着目し、それに関連する資料として、事業者により作成された環境報告書、ヒヤリング、学術論文、マクロ統計データなどの収集・整理を行った。環境効率には様々な定義が存在するが、現在のところ事業者に最も受け入れられているのは、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)により提唱された、「より少ない資源からより多くの財・サービスを生産する」という考え方であり、マクロ的にはGDPの環境効率に対応する。資料・データによれば、物質フローでみたわが国のGDP環境効率は1975年以降、高い経済成長率を維持しながらも一貫して向上し続けてきている。このようなGDPと環境のデカップリングは、産業構造の脱物質化、すなわち、資源集約型のハード産業から人的資本集約型のソフト型産業への継続的なシフトと深く関連している。しかしながら、(1)エントロピー的観点から、環境効率には上限がある(2)環境効率の向上速度は、近年減退傾向にある(3)ソフト型産業も環境負荷からフリーではないことから、GDPの環境効率を高めるための限界費用は既に相当に高くなっているものと考えられる。 以上のような整理を進めるうち、持続可能な発展への舵取りとなる指標としてGDPの環境効率を用いることの適格性を早急に再検討する必要性を痛感し、環境効率の分子としてはGDPよりも福祉水準を表現するものであるべきだと考え、アマルティア・センの潜在能力アプローチを用いて環境効率の再定義を試みた。さらに、事業者が潜在能力の環境効率を環境情報として発信するインセンティブの有無、および、そのような行為と持続可能な発展との整合性を検討し、その成果を論文としてまとめ、環境共生学会およびEcological Economicsに投稿した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] ISHIDA, Hazuki: "Capability, Income, and Sustainable Development"International Society for Ecological Economics - The 8th Biennial Scientific Conference -. (2004)