2003 Fiscal Year Annual Research Report
有用植物の利用からみた東シナ海東部島嶼域の地域特性
Project/Area Number |
15710184
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
落合 雪野 鹿児島大学, 総合研究博物館, 助教授 (50347077)
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Keywords | 有用植物 / 植物資源 / 地理的分布 / 食文化 / 生活文化 / 地域特性 |
Research Abstract |
平成15年度における研究実績を以下の4点にまとめる。 1)現地調査:奄美諸島の徳之島と奄美大島、および甑島、屋久島にて現地調査を実施した。まず、地域で採集、栽培された有用植物のローカルな流通を担う場としての「無人販売所」あるいは「コミュニティーセンター」の機能に着目した。そこに出荷されている植物の種類や量、販売形態等について観察をおこなうとともに、販売者および購入者から聞き取りをおこない、一次資料を収集した。これによりウリ類、柑橘類などの作物の在来品種や地域で伝承されてきた薬用植物など、食文化や生活文化に密接にかかわる植物利用の現状を明らかにすることができた。さらに研究代表者がこれまで民族植物学的な調査をおこなってきた、イネ科野生種のジュズダマ(Coix lacryma-jobi var.lacryma-jobi)について、生育地の観察、サンプルの収集、利用方法や呼称などについての住民への聞き取りを実施し、東南アジアや韓国における地理的分布や利用の事例との地域特性に関する比較検討をおこなった。 2)植物資料の観察:現地調査で着目した植物について、京都大学総合博物館および九州大学総合研究博物館に所蔵されている〓葉標本の閲覧をおこなった。さらに、群馬県子持村を訪れ、黒井峯遺跡出土の考古学資料で、日本最古と考えられている古墳時代のジュズダマ属植物遺物を観察した。その結果、それが従来いわれてきた栽培型のハトムギではなく、野生型のジュズダマであることを確認した。 3)植物〓葉標本の作製:支援者の雇用により、有用植物の〓葉標本作成作業を実施した。 4)文献資料等の購入:甑島現地調査に関連して「里村郷土誌」、「下甑村郷土誌」を、16年度に予定している韓国南部での調査に関連して「韓国の民俗学体系」1〜5巻をそれぞれ購入した。
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