2003 Fiscal Year Annual Research Report
空範疇の言語理論における整合性と有用性に関する実証的研究
Project/Area Number |
15720116
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
中川 直志 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 助教授 (70321015)
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Keywords | PRO / 極小主義 / 空格 / MDP / MLC |
Research Abstract |
本研究においては、空範疇の言語理論における整合性・有用性について、極小主義理論に基づく研究を行っている。研究そのものは中間段階にあるが、これまでの成果の一部はNakagawa (2004) ("Licensing of PRO and Feature Agreement,"名古屋産業大学論集4,191-200)において発表している。 本年度の研究の中心は不定詞節等の主語位置に現れるPROであった。PROの認可については、初期の極小主義理論において空格に基づく説明が提案されたが、近年、Hornstein (1999)やManzini and Roussou (2000)等によって、空格を仮定することの理論上の余剰性や経験的問題を指摘する研究が多く発表されるに至っている。それらの多くは、Rosenbaum (1967)が提唱したMinimal Distance Principle (MDP)をMinimal Link Condition (MLC)に還元しようとする試みに端を発しているが、MDPとは直接関係のない現象についての説明が十分でなく、PROにまつわる現象全般を説明する枠組みとして、完全に成功しているとは言い難い状況にある(cf. Landau (2000,2003))。その一方で、空格仮説とMLCに基づく説明のどちらが生き残るのか(あるいはどちらも生き残らないのか)は予断を許さないが、MLCに基づく説明が、少なくとも局所性に絡む問題を一元的に説明しょうという点において、極小主義の精神にそぐわない方向性を持つとは断言できないであろう。このような観点から、本年度はこれまで発表されたMLCに基づくPROの分布の説明を再検討し、MLCに基づく説明そのものを維持した上で、現段階における修正案を提示した(Nakagawa (2004))。
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Research Products
(1 results)