2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730087
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 瑠妙 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教授 (20329022)
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Keywords | 外交史・国際関係史 / 東アジア |
Research Abstract |
国連への中国の参加プロセスから明らかなように、国連において、中国は世界秩序の改編に特別な関心を示しておらず、現在は学習と適応の段階にあるといえる。中国は、国際規範を受容し、米国との協調を重視しながら、国際ルールのなかでプレーすることを選択している。 中国のPKO活動への参加は中国の外交資源の再配分につながり、間接的に中国の外交戦略に影響を与えた。他方、中国は内政不干渉や人道的活動に反対の姿勢を示している。この背後に見え隠れしている台湾問題、民主化問題はいわば、中国の国際社会への参加の障害ともなっている。 国際社会への参加によって、中国の内部から変化を起こすトロイアの木馬効果も期待されている。つまり、外部世界との連携により、中国政策決定者の政策オプションが限定されているため、国際規範に基づく国際制度が国際ルールから逸脱する中国の行動を拘束している。実際、中国の国内から「国際社会への参加は外部世界に対する影響力を弱めることにつながる」と、中国の国際社会への参加に対してさまざまな批判が行われていることもこのトロイアの木馬効果を逆説的に立証している。 他方、中国のPKO活動で示されているように、中国の国際参加に関して国内のコンセンサスが必ずしも形成されていない。中国政府は、国際的に受け入れられている国際規範を受け入れ、国際規範に基づいた行動している。しかし、国内規範と国際規範とには微妙なズレが生じている。中国国内における国際規範の社会化プロセスなくして、トロイアの木馬効果への楽観論も一筋縄ではいかない。
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Research Products
(4 results)