2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730217
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
兼杉 明法 広島大学, 経済学部, 講師 (90314723)
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Keywords | 会計数値 / 企業評価 / オールソンモデル |
Research Abstract |
会計数値を用いた企業評価モデル([t時点の企業価値]=[t時点の純資産簿価]+[t時点の期待暖簾価値(将来にわたる期待超過利益の割引現在価値の総和)])を用いて算定されたt時点の理論株価([t時点の企業価値]÷[t時点の発行済み株式総数])をt時点の市場株価と比較すると乖離が生じることがしばしばである。平成15年度は,Ohlson[1995,2001],Frankel and Lee[1998],Dechow et al.[1999],Holthausen and Watts[2001],Barth, Beaver and Landsman[2001],Botosan[1997],Batosan and Plumlee[2002],石川[2003,2004]を中心にレヴューすることによって,「市場株価が真の企業評価である」とする立場と「会計数値を用いた企業評価モデルによって算定された理論株価が真の企業評価である」とする立場と「双方とも真の企業評価からは乖離している」とする立場で多少考え方は異なるが,理論株価と市場株価の乖離は,(1)会計数値を用いた企業評価モデルの[t時点の期待暖簾価値]のうちのとくに「その他の情報(t時点の株価には織り込み済みであるが,t時点の会計数値には未だ織り込まれておらず,将来時点の会計数値に織り込まれると予測される情報)」部分を適切に算定することに不備が残されていること,(2)将来にわたる超過利益を計算する際の資本コストを適切に算定することに不備が残されていること、(3)景気の趨勢や資本市場の構造上の問題から市場の株価が誤って形成されているケースがあるということに多く起因することが判明した。これらのレヴューを基礎として平成16年度は会計数値を用いた企業評価モデルの改良を試みる予定である。
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