2003 Fiscal Year Annual Research Report
「不登校の親の会」の人々が持つ「医療」「学校」イメージと「親規範」に関する研究
Project/Area Number |
15730250
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
工藤 宏司 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (20295736)
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Keywords | 不登校 / 親役割 |
Research Abstract |
今年度の本研究は、以下の2つに関して主に行われた。それは、(1)雑誌・新聞メディアにおける「不登校」「ひきこもり」に関する記事の収集・整理(2)本課題の中心となるフィールドワークをする親の会・公的な相談所などへの予備調査、である。(1)については、主に90年代の新聞報道から、「不登校」に関する記事が、それまでよく見られていた「原因追及」をする報道から、「対処責任」を問うようなスタンスに変化してきたのではないか、という知見を得た。主に80年代までの報道では、「不登校」の原因は「親」や「子ども」の原因とされていたそれ以前のものへの反発から、「学校」「社会」にウェイトを置くものが多かった。しかし90年代に入り、とりわけ「親の会」がクローズアップされる中で、社会的なものに原因を求める一方で、「目の前の子どもとどうつきあっていくか」という対処場面において、理想とされる「親」のイメージが、ことさら画一的なものとして描かれるようになったといえる。そのなかでは、「不登校」をする子どもを「受け入れる」存在としての「親」役割が奨励されることがしばしば見られる。それは、「そういった語りは「不登校」をする子どもを持つ親にとって、一種の規範として作用するのではないか」という本課題の仮説を裏付けるための前提としての知見が得られたことを意味する。次年度は、雑誌記事や(可能であれば)テレビでの特集などにも分析対象を広げ、この点を吟味していく年とする。(2)については、近畿圏の2つの親の会、および、1つの公的相談機関にコンタクトをとり、それぞれの会の代表者や機関の職員の方に、簡単な予備聞き取りを実施した。次年度は、聞き取りを本格化するとともに、とりわけ「当事者」との関わりに悩む「親」にインフォーマントを広げることで、本課題における中心的なデータ収集を目指す予定である。
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