2004 Fiscal Year Annual Research Report
解離の基礎過程の発達的研究-記憶機能と参照枠としての自己に焦点を当てて-
Project/Area Number |
15730314
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田辺 肇 静岡大学, 人文社会科学研究科, 助教授 (60302361)
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Keywords | 解離 / 記憶 / 自己 / 構成概念 / 尺度 / 語り(ナラティブ) / 心理学 / 発達精神病理学 |
Research Abstract |
解離とその周縁の構成概念とその測定方法についての批判的検討については、まず「催眠と意識現象-「解離」概念の検討-」として『催眠学研究』に投稿した論文が受理され公刊された。ここでは、解離についての多くのモデル化を統合的に理解するメタモデルとして解離を家族的類似性を持った一連の諸現象の集まりとして捉える観点を提案した。今後も、日本心理学会の理論心理学の研究会である「心理学の哲学研究会」等の場で理論的、方法的問題の検討を行なっている。 また、解離の測定方法の整備に関しては、(1)解離との関係で重要な、離人についての尺度であるCambridge Depersonalisation Scale (Sierra & Berrios,1996)の邦訳版、(2)本研究の関心の焦点である発達的な研究に不可欠な、10代の若年者の病的解離性を捉える尺度であるA-DES (Adolescent Dissociative Experiences Scale ; Armstrong, Putnam et al.,1997;Smith & Carlson,1996)の邦訳版、以上2つの尺度の邦訳版を公刊した(「DES-尺度による病理的解離性の把握-」『臨床精神医学』第33巻)。 さらに、A-DESについては、(1)日本語版A-DESの一般中学・高校生における標準的な得点分布を捉え、(2)自己報告された外傷的体験頻度との関連からその構成概念妥当性を検討することを目的に、中学生457名および高校生885名を対象に調査を行った(「思春期青年における解離性体験と心的外傷体験-日本語版A-DES (Adolescent Dissociative Experiences Scale;思春期・青年期解離性体験尺度)の一般中学・高校生における得点分布および自己報告された外傷的体験頻度との関連からみた構成概念妥当性-」日本トラウマティック・ストレス学会第4回大会 2005年3月)。 そして、記憶機能の把握等についての実験的方法の最適化については、おもにDRMパラダイムについて、昨年度に引き続き当該分野を専門とする高橋雅延氏(聖心女子大学)をはじめ、それを専門とする研究者にコンサルテーションを受けながら予備実験を重ねている。
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