2003 Fiscal Year Annual Research Report
特異点のある退化放物型方程式の境界値問題および薄い領域での問題
Project/Area Number |
15740080
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 元彦 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (30254139)
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Keywords | 粘性解 / 退化放物型方程式 / 境界地問題 / 界面 |
Research Abstract |
二つの研究に対して成果を得た。金属粒界の運動に代表される界面の運動方程式においては境界値問題が特に重要である。この問題に関する研究は、反応拡散方程式の境界値問題の特異極限との関連からも重要であることが知られている。界面の運動方程式は、等高面の方法を用いると特異点のある退化放物型方程式となる。特異点のある退化放物型方程式のノイマン問題に関して、粘性解の一意存在がすでに知られている。また特異点のない退化放物型方程式に対しては、ノイマン問題を含む一般の境界値問題に対して、デュピイー石井が解の一意存在を示すことに成功していた。デュピイー石井と同じ一般の境界値問題に対しては、特異点のある退化放物型方程式には、彼らの手法を直接適応することが困難であった。境界条件が解の微分に対して、正斉次1次の仮定のもので、デュピイー石井の手法を改良することで、粘正解の一意存在の証明に成功した。二つ目の問題は、最近、北海道大学の儀我教授が、保存則の方程式を含む解がショックをおこす1階のハミルトン-ヤコビ方程式に対して新たな弱解の概念を導入し、方程式に対する適切な仮定のもと弱解の一意性の証明に成功した。その論文の結果は1階の方程式に対するものですが、解がショックをおこす問題は2階の方程式にも幾つかの重要な例があり、儀我の導入した弱解を2階の方程式に拡張できるようにすることは、重要といえる。この問題に対して、解の比較定理を得るための、補題を2階の方程式に適応できるように拡張する必要がある。1階の場合をそのまま拡張する場合、方程式の凸化する範囲にずれが生じるという困難な問題があったが、範囲のずれを克服する手法が見つかり、2階の場合に拡張に成功し、現時点でその確認作業を行っている。今年度は、国内での共同研究が中心となったため、それに伴う旅費が中心になりました。平成16年度において、海外で成果発表および研究打ち合わせを行う予定です。設備備品に関しては、論文作成のためにノート型のパソコンを購入しました。
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Research Products
(1 results)