2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740107
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷲見 直哉 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50301411)
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Keywords | 極限的直積構造 / 双曲型測度 / ハウスドルフ次元 |
Research Abstract |
近年になってBarreira, Pesin, Schmelingらは,双曲型測度が「極限的直積構造」とばれる性質をもつことを発見しました.彼等はこの性質を用いてEckmann-Ruelle予想を解決しました.極限的直積構造は,位相的に定義された局所直積構造の測度論的な類似物になっています.しかし,局所直積構造ほどその研究は進められていません.本研究では,双曲型測度の極限的直積構造を用いたエルゴード理論的な研究を進めることを目的とします. 本年度は昨年得られた次の結果に対し,別の方法による証明を与えました:本質的に双曲型測度μに引き寄せられる集合のハウスドルフ次元HD^s(μ)をHD^s(μ)=inf{HD(U W^s(x)):xεΛ,μ(Λ)=1}によって定義します.ここで,{W^s(x)}は安定多様体から構成される葉層構造,HD(A)は集合Aのハウスドルフ次元を表します.このときHD^s(μ)=Σδ_i+dim W^sを満たします.ここで,δ_iは異なる正のLyapunov指数χ_iに対応する不安定多様体上の条件付測度のハウスドルフ次元を表します. 今回の証明はよりBarreira, Pesin, Schmelingの証明に沿った形で得られました.彼らの証明では測度を持つ集合を覆うチューブを,より細かな分割の和集合として構成します.我々の結果を得るためには,測度を持つ集合だけでなく,その安定集合に入る部分も覆うチューブを必要とします.その際,一つのチューブの中にどれくらいの分割が入るかを評価する必要がありますが,同様な評価が安定集合を覆うチューブに対しても成立することがわかりました. 今年度はこの結果を、韓国の大田での研究集会「International Workshop on Dynamical Systems and Related Topics-Daejeon 2004」,軽井沢における冬の力学系研究集会、台湾の新竹での研究集会「2005 CTS Japan-Taiwan Conference on Dynamical Systems」で発表しました.
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