2003 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギーコライダーにおける超対称性模型の現象論的研究
Project/Area Number |
15740146
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
曹 基哲 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (10323859)
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Keywords | 大統一理論 / カラー三重項ヒッグス / 陽子崩壊 / グラビティーノ |
Research Abstract |
1.大統一理論の持つ深刻な問題の一つに、ヒッグス場の「二重項・三重項分裂」問題がある。この問題は、カラー三重項ヒッグス場の湯川結合の値が十分小さければ、陽子崩壊実験からの制限に抵触する事無くカラー三重項ヒッグス場が軽くなれるので回避される。近年、余剰次元を持つ或る種の大統一理論でこのような軽いカラー三重項ヒッグスの存在が示唆されたが、我々はこの軽いカラー三重項ヒッグスの、ハドロンコライダーにおける探索可能性を調べた。この種の模型で予言されるカラー三重項ヒッグスの特徴として、クォークやレプトン等との湯川結合が非常に小さく、コライダー実験のスケールで安定な粒子の様に振る舞うという点が挙げられる。この特徴を考慮し、生成されたカラー三重項ヒッグスの検出方法についても議論した。その結果、このようなカラー三重項ヒッグスは、その質量が1.5TeVから2TeV位までなら、LHC実験で十分に発見可能である事を明らかにした。 2.ゲージ相互作用により超対称性が破れる場合(Gauge mediated SUSY breaking、以下GMSB)では、一般にグラビティーノが一番軽い超対称粒子となり、宇宙初期に大量生成されたそれが現在まで生き残る事で観測と矛盾を生じる、いわゆる「宇宙論的グラビティーノ問題」を引き起こす。このような問題を回避するために、グラビティーノが取るべき質量スケールは色々な方法で議論されてきたが、本研究では、そのように宇宙論的な制限から期待されるグラビティーノ質量スケールが、電弱スケールでの実験に対してどのように影響し得るのかを調べた。その結果、宇宙論的には許されていた、O(GeV)程度の質量スケールは、電弱スケールの実験結果から排除される事を示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Cheung, G.C.Cho: "TeV colored Higgsinos in alternative Grand unified theories"Physical Review D. 69. 017702 (2004)
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[Publications] G.C.Cho, Y.Uehara: "Cosmological gravitino problem confronts electroweak physics"Physical Review D. (受理、印刷中). (2004)