2004 Fiscal Year Annual Research Report
密度行列繰り込み群のソフトマターへの応用-脂質膜の実効曲げ弾性係数の解析-
Project/Area Number |
15740238
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 由弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60294401)
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Keywords | 繰り込み / ソフトマテリアル / 高分子膜 / しわくちゃ転移 |
Research Abstract |
密度行列繰り込み法を、いわゆるソフトマテリアルの一種である高分子膜に応用した。具体的な作業内容は以下である。 まず、Bowick等(1995)の理論に従って、高分子膜を、三次元の三角格子の折りたたみ問題に帰着した。この問題は、蜂の巣格子上の二成分イジング模型と等価である。このアイデアにより、密度行列繰り込み群を、高分子膜に応用することができた。 本研究補助金で、計算機を購入し、大規模計算を行なった。 その結果、次のことを明らかにした。 (a)高分子膜の熱力学に密度行列繰り込み法が適用できる。 ちなみに、前年度は、同手法で、脂質膜を調べた。 (b)本年度は、膜の変形に「バックリング」や「オーバーハング」がある場合も考慮した。 ちなみに、前年度は、これ等は無視した。 (c)高分子膜は、脂質膜と異なり、低温で、しわくちゃ(crumpling)転移を起こす。 本数値計算により、転移が一次転移であることを明らかにした。 また、その潜熱は、平均場近似の見積りより相当大きい。 従来、二次元の折りたたみ問題は、かなり詳細に調べられていた。 三次元の折りたたみ問題は、二次転移になるという希望が持たれていたが、本研究結果は、それを否定する。 (d)また、変形にともなうエントロピーを見積もった。この値は、数学者(組合せ論)が得ている不等式と矛盾しない。数学の組合せ論的研究に指針を提供した。 (e)以上の結果は、インドにおける統計力学の国際会議STATPHYS22で発表した。
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Research Products
(2 results)