2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーパルスの伝播効果を考慮に入れた分子回転状態のフェムト秒量子制御
Project/Area Number |
15740252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70344025)
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Keywords | 量子制御 / インパルシブラマン散乱 / 電子スピン操作 / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、適切な理論モデルに基づいた数値シミュレーションによって、光と物質の回転自由度との相互作用の結果としてレーザーパルスの伝播経路に沿ってできる回転フォノン・スピン等の空間分布のコヒーレント制御の可能性を示し、その自由度の制約について探求し、「位相」の中に潜む光の本質を明らかにすることである。 具体的な例として、水素(0.5atm)充填中空ファイバー(内径126μm)における楕円偏光のポンプ光を用いたインパルシブ回転ラマン散乱のシミュレーションを行った。波長785nm、パルス幅40fs、ピーク強度10^<13>W/cm^2のポンプ光に対するフォノン振幅の分布の楕円度依存性を検討したところ、フォノン励起は、楕円度と伝播距離に強く依存し、また、直線偏光よりも楕円偏光の場合の方が大きくなることが分かった。 媒質の回転自由度と光の相互作用の重要な例として、スピンを利用した量子コンピューターやスピントロニクスへの応用が期待される、フェムト秒レーザーによる電子スピンの超高速操作が近年注目されている。これに着目し、また、光伝播と電子スピンの相互作用の理論的取り扱いは光伝播と分子回転の相互作用の取り扱いと似ていることを利用し、フェムト秒レーザー光による電子スピン励起の分布を計算する数値計算コードをした。媒質の奥行き方向への電子スピン操作の可能性について検討するために、レーザーパルスの伝播による電子スピン励起の奥行き方向分布を計算し、電子スピン励起分布が入射パルス波形に大きく依存することを見出した。また、遺伝的アルゴリズムを用いた入射パルスの最適化を行い、目的とする電子スピン励起分布を作り出せることを示した。
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Research Products
(1 results)