2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のアミロイド線維形成を阻害する人工RNAの進化分子工学法による獲得
Project/Area Number |
15750138
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 剛 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (90345380)
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Keywords | アミロイド線維 / アルツハイマー病 / 人工RNA / 進化分子工学 / アミロイド病 |
Research Abstract |
近年、タンパク質の天然構造が壊れたり、間違った状態へとミスフォールディングすることが原因で病気となる例がいくつか報告されている。特に、アミロイド病と呼ばれるアミロイド線維の形成が病気の原因となっているものとして、アルツハイマー病や狂牛病(プリオン病)などがある。アミロイド線維は、天然構造のタンパク質が凝集し、βシート構造に富んだ状態へと構造転移した結果、そのβシートが繊維状に組織化してできたものである。本研究では、RNAのin vitro selection法を活用し、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβタンパク質(Aβ)に結合することで、その構造転移および線維形成を阻害する人工RNAの獲得を行った。 天然状態(モノマー)のAβに特異的に結合するRNA分子を獲得するために、40塩基のランダム領域を含む89塩基からなるライブラリRNAを用いてin vitro selectionを行った。ニトロセルロースフィルターを用いて、Aβに特異的に結合するRNAを選択し、そのRNAを逆転写PCRにより増幅し、そのサイクルを12回繰り返した。最終的に獲得したRNAの配列を決定し、得られたRNAを用いてAβの構造転移阻害実験を行った。RNA非存在下と比較して、獲得したRNAを添加することにより、Aβのアミロイド線維形成は顕著に抑制された。特に電子顕微鏡観察においてもRNAを加えることによって線維量が明らかに減少していることが分かった。 以上、本研究により獲得した人工RNAがAβのアミロイド線維形成を効果的に抑制することが明らかとなった。さらに、より阻害能の高いRNAを獲得することにより、将来的なアルツハイマー病の治療等への応用が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Takahashi: "In Vitro Selection of RNA Aptamers That Inhibit the Amyloid-Fibril Formation of Aβ"Biomolecular Chemistry -A Bridge for the Future. 20-21 (2003)
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[Publications] T.Takahashi: "Construction of the Artificial Peptides and RNAs Targeting Amyloid Peptides"Peptide Science 2003. 455-456 (2004)